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産業医コラム

帯状疱疹ワクチンについて

2012年12月に日本内科学会より近年の訪日外国人の増加や日本人の海外渡航者数の増加、各種感染症の複雑化・難治化の傾向への対策の 1 つとして「成人予防接種のガイダンス」が公表されました。

中でも帯状疱疹は、身体の左右どちらかに水疱や発疹が帯状に出現し、チクチクした痛みや痒みの症状のみならず、発疹が改善してからも神経痛などの後遺症に悩まれる方が多い疾患として知られていますが、この帯状疱疹の症状が出にくくなり、また万が一帯状疱疹に罹患してしまっても、つらい神経痛などの症状が軽減する事を目的に、成人予防接種の一つとして日本内科学会から成人向けの「水痘ワクチン」接種が推奨されるようになりました。
 

帯状疱疹とは

"帯状疱疹"は水痘・帯状疱疹ウイルス(vari- cella zoster virus:VZV)によって起こる疾患で、主に幼少期の水痘の初感染の後、長期間、三叉神経節や脊髄後根神経節にウイルスが潜伏し、加齢や疲労など様々な原因 による細胞性免疫の低下をきたした際にウイルスが再活性化し、 末梢神経に沿って帯状の疱疹を呈する疾患で、どの年代でも罹患しますが、特に50歳を過ぎると発症頻度が増加する傾向があります。
 

治療方法

治療方法は、バラシクロビル塩酸塩(バルトレックス)やファムシクロビル(ファムビル)などの抗ウイルス薬をおよそ7日間内服し、ステロイド剤など炎症を抑える外用薬との併用で数週間ほどで治癒することが多いのですが、約20%の患者さんに帯状疱疹後神経痛が遷延します。

発疹や水疱が出来てから、なるべく早く抗ウイルス薬を服用した方が症状が軽く、神経痛も軽度で落ち着く場合が多いのですが、抗ウイルス薬はあくまでもウイルスが体内で増殖するのを防ぐ役目しかなく、ウイルスを消滅させる力は無いと言うことを認識していなければいけません。

ですので、出来るだけ初期のウイルスが少ない早い段階で抗ウイルス薬を飲み始め、症状が治まったように見えてめ処方された日数はきちんと内服薬を飲みきることが重要です。
 

帯状疱疹ワクチンについて


しかし、内服をきちんとしていても帯状疱疹に伴う神経痛は人によっては数ヶ月~何年も痛みが続き、痛みのために眠れない、外出する気持ちにならない、食欲がなくなってしまうなど大人のquality of lifeが大きく損われることがあり、問題となっています。

また眼瞼から角膜に帯状疱疹が出来てしまった方の中には重度の角膜炎による視力低下や失明に至る場合もあり、難聴、耳鳴り、めまい等の耳症状が長期間残ることもあります。
 

帯状疱疹ワクチン

我が国では成人に対する水痘ワクチン接種は数年前まではあまり積極的には推奨されていなかった為、帯状疱疹の予防効果の臨床的有効性を調べた研究結果はありませんでした。

しかし米国では10年以上前から成人用水痘ワクチンの予防効果を検討する臨床検討が行われ、その結果、成人向けの「水痘ワクチン」接種は

 1. 帯状疱疹の発症を100%は抑制することはできないが、発生率自体を約50%は減らせる
 2. 万が一罹患してしまった場合でも神経痛の痛みを軽減し、辛い帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症を
   60%以上軽減できる

という事が判明し2006年に60 歳以上の成人の帯状疱疹予防 ワクチンが承認されました。
その後日本でも国内での臨床検討が重ねられ、2016 年3月からは50歳以上の成人の帯状疱疹予防ワクチンとして承認されています。


ただし、水痘ワクチンはいわゆる病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱めて病原性をなくしたものを原材料として作られる"生ワクチン"である為に、抗癌剤治療や放射線治療、免疫抑制剤を使った治療などを受けられている方や、接種時に免疫力が低下している状態の方には接種を行うことができません。

しかし現在、海外で50 歳以上の成人における帯状疱疹に対する"生ワクチン"でない遺伝子組み換え型の新規ワクチンの開発が進められています。
 

帯状疱疹ワクチンについて


帯状疱疹は一度罹患すると通常は繰り返し罹患する事は少ないのですが、まれに繰り返し帯状疱疹に罹患される方がいらっしゃいます。そういった方は体内の免疫力が極端に低下している疑いがあり、体内にガンなどの悪性腫瘍が発生していないか、全身の精密検査を行う必要があります。

帯状疱疹にならないために個人ができる予防法は、ストレスが増えてきたなと感じたら、積極的に休む時間を確保するようにし、水分やビタミンCを多めに摂取し、免疫力が低下することを防ぐ事が大切です。

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産業医紹介ナビが提携している、もちづき内科クリニックでは帯状疱疹ワクチン接種が可能です。
ご希望される方は、クリニックまでお問い合わせください。
「帯状疱疹ワクチン」 価格:8,640円(税込み)

もちづき内科クリニック
https://www.mochizuki-medical.com

東京都品川区戸越4-9-12 東急大井町線 戸越公園 徒歩3分

電話:03-6426-2711

花粉症治療と薬の種類

もちづき内科クリニック院長 産業医 望月香織先生に花粉症治療と薬の種類について伺いました。
 

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花粉症の季節到来ですね。クリニックを受診される患者様や産業医として訪問する企業の従業員の皆様もこの時期は、花粉症の症状で悩まれている方が多いようです。

花粉症とは、スギやヒノキ、雑草などの植物や木々の花粉が鼻、目、耳、気管支の粘膜に触れることによって鼻水やくしゃみ、鼻づまり、耳の中のかゆみ、咳、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こすことを指します。

日本は戦後にたくさんのスギやヒノキの木を植樹しました。そのおかげで山は豊かになりましたが戦後70年が経過し、木々が立派に成長したため逆に非常に大量のスギ花粉が飛散することになり、そのため日本では花粉症の原因の約70%がスギ花粉症と言われています。

近年は日本に住まれている在留外国人の方々も増加していますが、日本はとくに春スギ花粉が大量に飛散するので、初めて花粉症の症状が出現し、医療機関を受診するかたが増えてきています。
 

花粉症の症状

花粉症の症状

花粉症の症状は主にくしゃみ、透明でサラサラした鼻水、鼻詰まり、鼻出血などのアレルギー性鼻炎の症状と、目の充血やかゆみ、痛みなどのアレルギー性結膜炎の症状、耳のかゆみ、耳閉感、目眩などの耳の症状、咳や痰、息切れなどの呼吸器の症状、頭痛や黄色鼻水、首や顔面の痛みなどの副鼻腔炎症状、腹部膨満感や便秘、嘔気、食欲不振などの消化器症状、口の中の違和感や口内炎、喉の痛みなどの口腔内症状、微熱や倦怠感などの全身症状があります。

花粉症は、各患者さんの免疫力の低下や疲労の状態、その年に飛散する花粉の量によっても出現する症状や症状の強さが変化します。

また花粉症のいわゆる典型的な鼻水、目のかゆみと言った症状がある場合、その症状を風邪の症状だと思い、医療機関を受診するタイミングを逃し、花粉症の治療が遅れてしまう場合があります。

花粉症は風邪の症状と重複する症状も多く、また風邪をきっかけに花粉症の症状が悪化する場合もあるので、春や秋に鼻水や鼻閉、頭痛などの症状がある場合には自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
 

花粉症が悪化してから治療を始めると一度出現した症状が落ち着きずらくなり、薬の効果が充分に出るまでに時間がかかってしまいます。最近では、1月末くらいから、内服や点眼、点鼻薬での治療を少しずつ始める初期治療という方法が推奨されています。

花粉症の強い症状が現れる時期を遅らせたり、症状を軽くしたり、症状が出現する期間を短くする、薬剤の使用を少なくできるなどの良い点がありますので早めの受診をお勧めします。
 

花粉症の薬の種類

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花粉症の薬には大きく分けて
 1. 内服薬
 2. 点鼻薬
 3. 点眼薬
があり、

内服薬には
アレルギー症状自体を抑制する
 1. 第2世代抗ヒスタミン薬
 2. ケミカルメディエーター遊離抑制薬
 3. Th2サイトカイン阻害薬
があり、症状に合わせて選択し、場合によっては2種を併用します。

鼻閉の症状に対しては
 1. 抗ロイコトリエン薬
 2. 抗プロスタグランジン薬
 3. トロンボキサンA²阻害薬
 4. Th2サイトカイン阻害薬
 5. 鼻噴霧用ステロイド薬
などを処方し、

くしゃみ・鼻水が喉にたれてくるなど複合した症状の方には
 1. 鼻噴霧用ステロイド薬
 2. 第2世代抗ヒスタミン薬
を併用したり、

鼻閉を主とする症状の方には
 1. 鼻噴霧用ステロイド薬
 2. 抗ロイコトリエン薬または抗プロスタグランジン薬またはトロンボキサンA2阻害剤
を併用するなどの方法があります。

また点鼻薬にも抗アレルギー薬とステロイド点鼻薬があり、その中にも作用強さや、パウダー剤、細かな霧状の噴霧剤の違いなどがあり症状に合わせて選択します。

点眼薬にも同様に、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド剤があり、当院では主に抗アレルギー点眼薬と抗ヒスタミン点眼薬を処方しております。

理由としましては万が一緑内障などをお持ちでもご自身で気が付いていらっしゃらない場合や、眼球や角膜に何らかの疾患がある場合にステロイド点眼薬を使用することにより症状が悪化する可能性があるため、抗アレルギー、抗ヒスタミン点眼薬に効果が見られない場合には当院では安易なステロイド点眼薬の処方をせず、眼科の専門医をご紹介しております。
 

日常生活からの改善

日常生活からの改善

花粉症をはじめとしたアレルギー疾患にとっては全般的に日常生活の改善も重要です。
 1. 睡眠時間の確保 (6-7時間/日)
 2. バランスの取れた食事(粘膜の免疫力強化の為のビタミン、ミネラル、良質なタンパク質の摂取)
 3. 口腔内ケア(歯磨きやうがい、入れ歯の正しい、定期的な歯石クリーニングなど)
 4. 定期的な運動(全身の血液循環を良くすることで身体全体の免疫力を上げるため)
が必要です。

また近年は腸内細菌とアレルギー疾患の関連について世界中の医師や研究者が研究を続けており、ある種の乳酸菌を定期的に摂取し、腸内環境を改善、腸内細菌叢を整えることでアレルギー疾患の症状を緩和することが出来ると言う結果が出ていますので、定期的な乳酸菌の摂取やサプリメントの摂取もアレルギー治療には推奨されはじめています。

生活習慣改善、サプリメントを上手に取り入れ花粉症に負けない体づくりをめざしましょう。

もちづき内科クリニック院長 産業医 望月香織

復職判定と産業医の関係について

休職をする労働者がいる場合、復職判定について基準等、明確に定めておかなければなりません。この復職判定にあたっては産業医が重要になってきます。トラブル防止のためにも復職時には産業医を活用するようにしましょう。

 

1. 復職に必要な流れ

休職理由にもよりますが、一度休職していた労働者が復職を希望するに至ったとき、あらかじめ取り決めをしっかりと行っていなかったことが原因でトラブルになることも珍しくありません。復職に関わるトラブルとしてはやはり、復職判定の基準が明確でなかったことが関係してきます。

 

トラブルなく復職まで迎えるにはプラン練ることが必要です。特にメンタルヘルスの問題で休職することになった場合には休職中に療養に専念できるよう、企業側の支援も必要です。復職にかかる事務手続きにはどのような手順が必要で、労働者は何を用意しなければならないのか、不安のないように説明をしておかなければなりません。

 

また、主治医により職場復帰可能かどうか、診断書の提出を求めることになります。労働者本人の意向だけでなく、専門家の意見を取り入れ業務が今後できるのかどうか判定します。しかし主治医は職場のことまで詳しく知っているわけではありません。そして医師だからといって、その判断が絶対的に正しいとも限りません。産業医を選任している場合には、産業医の精査も通して総合的に判断することが大切になるでしょう。

 

さらに、復職が可能であると判断したとしても、その後のフォローが必要かもしれません。休職していた労働者の支援のプランを立て、まだ治療が必要であればそのために必要な配慮として何があるのか、また、別の特別な配慮や観察が必要なのかどうかなど、話し合ってからの復職をするようにしましょう。復職後担当する業務の内容などについても事前に把握することができれば労働者としても安心感が得られることでしょう。

 

2. 復職と産業医の関係

50人以上の事業場で選任義務が発生する産業医ですが、健康診断の結果等に対する面談などに限らず、休職や復職の際には重要な役割を担います。主治医によっても判定してもらうことはできますが、産業医の意見を取り入れることも大切です。特に復職が可能かどうかについては精神疾患等を専門にする産業医がいると心強いです。

 

医師と言ってもそれぞれに専門の分野があり、できることにも個人差があります。専門外のことについてはノータッチにしている医師もいます。そのため、できるだけ専門的な知識や経験を持つ産業医を選任しておく必要があるでしょう。

 

事業者は業務内容については詳しくても、医学のことについてはまったくの素人です。勝手な判断で休職や復職の判断をするのではなく、明確な基準のもと専門家である産業医がその判定に加われば、労働者も納得がいきやすいです。企業には労働者に対し産業医の存在について周知させる義務があるため、普段から、何か問題があれば産業医に相談するようにし、活用しやすい環境を提供してあげましょう。形だけでなく、産業医としての役割を全うさせることでトラブルのない復職を目指しましょう。

 

3. 主治医と産業医で意見が異なる場合

主治医や産業医のように専門家の意見を取り入れて復職判定をすることは大切です。しかし主治医の意見と産業医の意見が割れることがあります。このような場合、事業者としてはどうすべきなのでしょうか。

 

この場合、必ずしも答えが決まっているわけではなく、その状況に合わせて判断をすべきです。しかし一般的に主治医は患者である労働者の意見を尊重する傾向があり、そして企業側の状況までは把握できていません。これに対して産業医は企業側と労働者側、両方の意見を聞くことができ、労働者にアドバイスをすることも、企業に対し必要な措置を取るよう勧告をすることもできます。そして企業側としても産業医に対し不当な扱いはできません。つまり、企業側の意見と対立するからといってその産業医を解任するようなことは許されないのです。

 

そもそもこのようなことができてしまうと産業医の立場は弱くなり、大した意味を持たなくなってしまいます。事業者には産業医の意見を十分に尊重する必要があるのです。特に常勤する産業医であれば職場の状況をよく理解しています。こうしたこともあり、主治医と意見が分かれていたとしても産業医の意見は尊重すべきで、主治医の判断を加味しながら産業医の意見を採用するという考え方が重要になってくるでしょう。

 

4. まとめ

復職判定はあいまいな基準で行ってはいけません。特にメンタルヘルスの問題はデリケートです。できるだけ専門家である主治医、もしくは産業医の意見を聴取し、必要であれば就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮などの措置も考えなくてはなりません。復職判定のための基準は事後的に決めるではなく、休職期間に入る段階で決めておく必要があります。

 

さらに産業医が選任されているのであれば主治医だけでなく産業医の意見も取り入れるようにしましょう。専門知識に加え、実際の職場を知っているからこそできる判断もあります。

 

嘱託産業医と専属産業医の違いとは

ある条件を満たす事業場には産業医が必要になります。産業医は医師とは役割も権限も異なります。また、産業医にも「嘱託産業医」と「専属産業医」が存在します。事業場の規模などに応じてそれぞれ選任のルールが定められているため、その規定内容をしっかりと把握するようにしましょう。

 

1. 嘱託産業医とは

事業場の労働者数が50人以上であれば産業医の選任が必要になってきます。これは法律に定められている義務であり、企業は定められている要件通りに産業医の選任をしなければ50万円以下の罰金に処される可能性があります。主に事業場の規模、常時使用する労働者数で判定され、また一部の事業内容についてはやや異なる規定が設けられています。

 

労働者数が50人以上であれば選任することになりますが、一つの事業場に3001人以上労働者がいる場合には産業医を2人選任しなければなりません。さらに、産業医にも分類があり、嘱託産業医と専属産業医に分かれます。嘱託産業医は「非常勤」の産業医のことで、事業場あたりの労働者数が999人までであれば嘱託産業医を1人選任するだけでよいと定められています。

 

しかし以下13項目いずれかの業務を行う事業場であり、かつ、500人以上の事業場であれば非常勤の産業医では不十分とされています。

 

1.多量の高熱物体を取扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

2.多量の低温物体を取扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

3.ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務

4.土石、獣毛等の塵埃又は粉末を著しく飛散する場所における業務

5.異常気圧下における業務

6.削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務

7.重量物の取扱い等重激な業務

8.ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

9.坑内における業務

10.深夜業を含む業務

11.水銀、砒素、黄燐、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、一酸化炭素、 二硫化窒素、亜硫酸、ベンゼン、アニリン、その他これらに準ずる有害物の ガス、蒸気、又は粉塵を発散する場所における業務

12.病原体によって汚染のおそれが著しい業務

13.その他厚生労働大臣が定める業務

 

嘱託産業医についてまとめると、

・非常勤の産業医

・999人以下の事業場で選任可能

・一部の業務では499人以下の事業場に限られる

となります。

 

2. 専属産業医とは

専属産業医は嘱託産業医と対にして考えられ、「常勤」の産業医ということになります。規模が大きく、また、危険な業務などを行う事業場でも選任の必要が出てきます。具体的には各事業場において1000人以上の労働者がいる場合と、上で挙げた13項目に該当する業務であれば500人以上の労働者がいれば専属産業医の選任が求められます。また、3001人以上の事業場では2人の産業医が必要とのことでしたが、この2人について専属産業医、つまり常勤の産業医である必要があります。

 

専属産業医についてまとめると、

・常勤の産業医

・1000人以下の事業場で選任可能

・一部の業務では500人以上の事業場でも必要

・3001人以上の事業場では2人専属産業医が必要

となります。

 

3. 産業医と医師の違い

産業医と医師について、何が違うのか整理しておきましょう。産業医も医師の一部になりますが、一般的に言われる医師とは役割や権限が異なります。産業医は医師として医学の専門的な知見を持っていることは大前提で、産業保健や労働衛生に関する専門知識を有している必要があります。そのため、医師が企業から選ばれれば当然に産業医となるわけではなく、医師がある条件を満たさなければ産業医にはなれません。

 

産業医の条件としては労働安全衛生法第13条2項に定められており、

「産業医は労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める一定の要件を備えた者でなければならない」

と規定されています。この条文にある「一定の要件」は、次の第14条2項に定められています。

 

1.厚生労動大臣が定める産業医研修の修了者。

2.労働衛生コンサルタント試験に合格した者。

3.大学において労働衛生を担当する教授、助教授、常勤講師の職にあり、又はあった者。

4.産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者。

 

このいずれかを満たすことで産業医として認められます。厚生労働大臣が定める産業医研修には2つあります。1つは日本医師会の産業医学基礎研修、そしてもう1つは産業医科大学の産業医学基本講座になります。

 

産業医として働く場合、通常の医師と比べてその活動場所や対象者、仕事内容、必要な知識や経験、技能に特徴の違いがあります。職場の作業環境改善に向けた取り組みを行い、事業者に対して勧告権限を有するという点は特に医師との相違点であると言えるでしょう。

 

4. まとめ

事業者は産業医をできるだけ有効活用し、労働者の健康保持・管理をすると良いでしょう。ただし産業医選任の基準についてはよくチェックし、各事業場に何人の労働者がいるのか、そして特例措置のとられている一部の業務内容に該当しているのか、ということは把握しておくべきです。その人数や業務内容に応じ嘱託産業医で良いのか、専属産業医が必要なのかが変わってきます。また3000人を超える大きな事業場では常勤である、専属産業医が2人必要になるということも覚えておきましょう。

 

産業医を選任する義務のある企業の基準とは

ある基準を超える企業には産業医の選任が必要になります。これは労働者保護が主な目的です。具体的にどのような企業で選任の義務が生まれてくるのか見ていきましょう。

 

1. 産業医選任義務の基準

企業の規模が一定以上になってくると、「産業医」の選任について考えなくてはなりません。産業医とは、労働者の健康管理等について指導や助言を行う医師のことで、労働安全衛生法によってその選任基準が定められています。基本的に労働者数に応じて産業医の選任義務の有無、産業医の形態や人数が変わってきます。

 

労働者数が50人以上の事業場なら産業医の選任が必要です。ここで注意すべきことは、事業場の意味と産業医の形態についてです。事業場とは企業単位ではなく、現実に働いている職場のようなイメージとなります。例えば企業全体で50人の労働者数が存在しても、本店と支店にそれぞれ労働者が30人、20人と分かれれば、事業場単位で見たときには50人未満となり産業医の選任は必要ないということになります。

 

しかし、単に場所が離れているというだけでは異なる事業場として扱われない可能性があります。産業医選任の観点から各職場を事業場と認めるには独立性が必要になります。管理的機能、例えば人事の管理を行うような機能を持つ支店でなければ別の事業場として扱われず、事業場としては本店に帰属することになります。逆に、独立性が認められれば同一の場所であっても異なる事業場として扱われるケースもあります。著しく労働の態様が異なる部門があり、労働安全衛生法の適切な適用のため別個の事業場と考える方が望ましい場合、場所に関係なく異なる事業場として扱われることになります。

 

もう一点注意すべきことは産業医の形態についてです。基本的に事業場単位の労働者数で産業医の人数が決まりますが、一部の事業内容を行う場合、異なる基準が設けられています。

 

「専属産業医」と呼ばれる常勤の産業医は、通常1000人以上の労働者を抱える事業場で必要となりますが、有害な物質を扱い、より厳重な健康管理が必要な職場では500人以上から選任が求められます。もう一つの形態には「嘱託産業医」があります。こちらは専属産業医と異なり非常勤でかまいません。比較的規模の小さな事業場では嘱託産業医の選任で足ります。

 

以下、産業医の選任義務や必要な人数等をまとめます。

 

・50人~999人  :嘱託産業医1人(事業内容に応じ、500人以上で専属産業医が必置)

・1000人~3000人:専属産業医1人

・3001人~    :専属産業医2人

 

2. 義務があるにも関わらず産業医を選任しない場合の罰則について

産業医の選任は法律に定められている義務です。選任が必要であるにもかかわらずこれを怠れば50万円以下の罰金に処されます。

 

労働安全衛生法では第120条にこの罰則規定があり、同条ではこの罰則規定に該当するケースが列挙されています。産業医の選任義務違反以外に関連するものとして、健康診断の実施違反や健康診断結果の通知の未記録、さらに健康診断結果の未通知なども含まれています。

 

そもそも企業活動を行うにあたり労働者を雇う場合、労働者の安全確保のために必要な配慮をしなければなりません。これは労働契約法で明記されています。産業医の選任等はこれを具体的に実施するための規定と言え、企業の責任者としては当然に守らなければならない義務なのです。

 

3. 産業医を選任しない場合の法律以外のリスク

産業医の業務は幅広く、その需要も高まりつつあります。現在のところ産業医の行う主な業務内容は健康診断に関わるものが多いですが、この他メンタルヘルスに関する相談や、健康管理計画の企画・立案の指導助言なども行われます。産業医をうまく活用することで企業にも様々なメリットが期待できます。

 

しかし、選任義務があるにも関わらず産業医が配置されていない事業場も存在します。この場合、罰金に処されること以外にも様々なリスクを負うことになります。労働者の過労死などが社会問題となっている現代では、これを防ぐため労働者の自己管理のみならず企業側の歩み寄りも必要になります。

 

健康的な職場環境の構築をしていかなければなりませんが、専門的な知見を有する産業医を選任していれば、そのためのアドバイスを受けられます。また、労働者にとって、上司や経営者等より産業医のほうが相談をしやすい場合があります。労働者との面談、そしてこれを受けて企業に対し必要な措置の勧告指導なども行えます。このように間に立つ者がいることで問題を明らかにでき、企業全体をよりよい方向へ向かわせることができます。

 

4. まとめ

産業医は50人以上の事業場で選任の必要が出てきます。選任を怠れば50万円以下の罰金に処されるだけでなく、労働者の適切な健康管理ができなくなるリスクも高まります。

 

各事業場には専属産業医と嘱託産業医のどちらが必要なのか、そして何名選任する必要があるのか考えてみましょう。そのためには特に各支店や工場等が、産業医選任の観点から事業場として扱うことができるのかどうか、注意が必要になります。

 

産業医の役割と権限についての解説

産業医にはどのような役割があるのかご存知でしょうか。以前より、ある一定規模以上の事業場では選任の義務がありましたが、働き方改革関連法の成立により産業医の権限にも変化がありました。もともとどのような役割が産業医にはあり、改定によりどのように変わったのか見ていきましょう。

 

また、事業者としてはどのように産業医を選任することが望ましいのか知る必要があります。産業医の存在意義等をよく考えながら選任することが大事になるでしょう。

 

1. 産業医の役割

各事業場の規模や業務内容に応じ、事業者は産業医の選任をしなくてはなりません。労働者が50人以上の事業場では選任が義務付けられ、労働者の健康維持等を図ります。事業者は、労働者が健康的に仕事をできるよう努めなければなりません。産業医を選任するということはそのための具体的な方法の一つであると言えます。医学に精通する者の意見を取り入れることで、より現実的に健全な職場づくりを目指すことができるようになります。

 

産業医の主な役割としては、健康診断や面接指導の実施、その結果を受け労働者の健康保持に向けた措置、作業環境の維持管理などがあります。健康教育や労働衛生教育を行うこと、労働者の健康相談を受け改善のためのアドバイスをするなど、活動範囲は非常に広いものとなっています。労働者や職場の状況を確認し、どうすべきか企業に対して意見することもできます。労働者の健康面から企業活動の是正を図る役割があると言えるでしょう。

 

また産業医は毎月1回事業場を巡視し、作業の方法に問題があり衛生状態に有害であるとみるときにはこれを防止するような措置を講じなければなりません。

 

このように産業医の役割を見ていくと、選任義務の生まれる労働者数50人というのも単なる基準に過ぎず、すべての事業場で産業医の必要性があると言えます。そのため50人未満の事業場であっても選任できないということではなく、産業医を置かなかったとしても労働者の健康管理について配慮するよう努めなければなりません。

 

2. 望ましい産業医の選び方

日本医師会認定産業医の資格持つなど、条件を満たす者でなければ産業医にはなれず、事業者も選任ができません。日本医師会認定産業医の場合、認定証には5年という有効期限があるため、この認定を受ける医師としては定期的に更新をしなければなりません。ただし、有効期限が切れても産業医として選任できなくなるわけではありません。ルール上、事業者は更新をしていない元日本医師会認定産業医を産業医として選任できるのです。

 

しかし法律上、産業医の選任を強いられているからという理由ではなく、本来の目的である、労働者の健康管理を目指すために選任するのであれば選び方にも配慮が必要です。例えば優良な産業医の紹介をする事業も行われています。選任することで今後社内環境をどのようにしていきたいのか、一度見直してみると良いでしょう。

 

産業医を有効に活用することは、労働者の健康についてだけでなく、企業のためにもなります。経済産業省では「健康経営優良法人」の認定を行っています。労働者の健康状態を保ち生産性を上げるだけでなく、企業のイメージアップなどにも繋げられるでしょう。

 

3. 労働安全衛生法改正による産業医の権限の強化について

今後も産業医に対する期待は高まると見られています。しかし現状としては、産業医を選任している事業場であったとしてもそれほど機能していないケースもあります。これには産業医の権限がそれほど強くないということも背景にあります。例えば労働者が産業医に相談し、産業医が事業者に必要な措置を取るよう求めても、その内容には法的拘束力がありません。そのため過酷な労働環境から抜け出すことができず心身を壊してしまうということも起こっています。

 

そこで、働き方改革に伴い労働安全衛生法が改正、産業医の権限等についても変化がありました。新たに事業者側の義務が課せられ、労働者には嬉しい内容となっています。例えば産業医に対し健康診断の結果や長時間労働をしている労働者の情報について提供をすることが義務となりました。また労働者に対しては、産業医の役割や利用方法について周知させなければならないとしています。この他産業医から勧告を受けた事業者はその内容を安全衛生委員会に報告する義務など、産業医によるアドバイス等をないがしろにできなくなりました。

 

4. まとめ

産業医には多くの役割がありますが、以前より権限が強化されたことでさらに有効活用しやすくなっています。今後も制度の見直し等を通じて労働者が働きやすいよう、健全な職場の実現が図られることでしょう。事業者としてもよく考えて産業医の選任をし、労働者と企業、ともに有益なものになるよう目指すべきです。何のために産業医が必要なのか、労働者の健康保持・管理のためにはどうすべきなのか考えることが企業のためにもなるでしょう。

 

休職までの流れと産業医の関係性

休職を希望する労働者がいた場合、実際に休職を始めるまでに確認や必要に応じて取り決めをしておかなければトラブルに発展する可能性があります。そこで、事業者が注意すべきポイントをいくつか説明し、さらに、休職において重要になる産業医との関りについても触れていきます。

 

1. 休職までの具体的な流れ

企業の責任者として労働者を雇う以上、労働者の健康状態の管理等には一定の配慮が必要です。過酷な労働環境を強要しないことや衛生管理をしっかりと行うことはもちろん、事業場の規模に応じて産業医の選任が必要になることもあります。ひとつの事業場において50人以上の労働者がいる場合には産業医の選任が必要になってきます。そのため産業医の選任が必要になる場面というのはそれほど珍しいことでもなく、この義務に背けば罰則もあるため事業者としては十分注意しなければなりません。

 

しかし事業者側が産業医の選任など、労働者の健康管理等に努めていたとしても絶対に安心できるものではありません。様々なことが原因で労働者の心身は消耗され、休職せざるを得なくなる可能性も考えられます。事業者としてはこのような事態を避けるため策を講じることは大切ですが、起きてしまったことに対して適切な対処ができることも重要です。

 

休職を希望する労働者がいた場合、事前に確認しておくべきポイントがいくつかあります。休職の理由や、休職手続の方法、休職期間、そして休職中の給与や手当についてもしっかりと決め、話し合うことでさらに起こりかねないトラブルを防ぐことができます。また、休職者としても細かく決めておくことで安心感を得られます。

 

分からないことや疑問に思うことを残したまま休職に入るのではなく、復職までフォローしてあげることが大切です。特に復職の条件については互いに納得いく基準を設ける必要があります。本人が強い意思を持って復職の意思を伝えても産業医が診断によって反対の意思を示せば揉めることもあり得ます。誰がどのように判断すれば復職できるのか話し合っておきましょう。

 

2. 休職に際する産業医の業務

体や心の問題で休職する場合、専門家である医師の診断を受けるべきです。労働者がこうした問題を抱える可能性も考慮し、産業医に相談しやすい環境を事業者は作ってあげましょう。

 

働き方改革に伴う労働安全衛生法改正により、事業者には様々な義務が設定されました。産業医が活用できることについて周知させることもそのひとつです。せっかく専門家を選任するのであればできるだけこれを企業や労働者のために活用すべきです。何かあれば産業医に相談できるということを知らせ、その方法についても説明するようにしましょう。

 

休職にあたっては、産業医は労働者と事業者の間に立ち面談、専門医師の受診を勧めることや、復職の診断などを行うこともします。産業医に診てもらうことで、適切な処置が期待できるようになります。例えば心の問題だとすれば精神科等の受診が必要です。しかし上司には相談しにくい場合でも、産業医であればこの役割を果たすことが出来ます。また、産業医による積極的な働きかけによって早期の問題解決を図ることもできます。

 

企業によっては産業医の選任をしているにもかかわらずあまり積極的な活用をしていないところもあります。産業医の業務は本来幅広く、企業に対して勧告をする権限も持っています。産業医のする勧告に法的拘束力はないものの情報の提供を求めればこれに応える義務などはあり、労働者のためにできることはたくさんあります。

 

休職するほど追い込まれる前に環境改善ができるよう産業医の力も借りながら対処することが大切です。また、休職希望者が出ても、産業医の面談等を行い、労働者が相談しやすい環境づくりを目指すべきでしょう。

 

3. 休職などのデリケートな問題に対する産業医の選び方

法に則り、違反さえしなければ良いと考えるのであれば産業医の選び方で特に悩むことはないでしょう。しかしある特定の問題に対処すべく産業医を選ぼうとするのであれば、その目的に合った産業医を選ばなければなりません。

 

休職に対するフォローができる産業医を求めるのであればメンタルヘルスの管理ができる産業医を探すのも良いでしょう。特にメンタルヘルスについては産業医の個人差が大きく影響します。適切なコミュニケーションを図れる産業医であることが大切で、精神疾患等の知識や経験を持っていることも重要になってきます。

 

4. まとめ

労働者にとっては特に、休職は重大な出来事です。事業者は真摯に対応し、復職まで見越したフォローが必要です。またそのためには産業医の協力も欠かせません。労働者本人が上司に話しにくいことでも、直接業務に関係なく、専門家である産業医であるからこそ相談できることもあるでしょう。必要に応じて受診を勧めることや、休職・復職の判断をすることもできます。産業医は休職や復職、こうした事態についても強い関係性を持つ存在であると言えるでしょう。

 

禁煙の必要性

喫煙の与える影響は喫煙者であるご自身にとって肺がん、慢性呼吸不全、肺気腫などの呼吸器の辛い疾患の原因となるだけでなく、喉頭がん、舌癌、食道がん、胃癌、腎臓がんを始めとする悪性腫瘍の原因になるだけでなく、大動脈瘤や大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞、脳血管性痴呆、腎不全などの重大な疾患の原因の一つになります。
またさらに重篤な事は、喫煙されない周囲のご家族やご友人、同僚や見知らぬ方にも影響を及ぼしてしまっているのです。

タバコの煙には3種類あり、実際に喫煙する方が吸い込む(主流煙)と、タバコが燃える際に発生する時の煙(副流煙)、.喫煙する方の息から出る煙(呼出煙)があり、喫煙する方の周囲の方が副流煙や呼出煙を吸ってしまう事により喫煙者以上に健康被害をもたらされている事はあまり知られていません。

なぜなら副流煙に含まれる有害物質は喫煙者自身が摂取する主流煙よりも濃度が高く、タバコの煙として人の目に見えている煙の部分はたばこの有害物質の10パーセント以下にしかすぎず、1人の方がタバコを1本屋外で吸うだけで、知らないうちにドラム缶50本分の周囲の空気を汚染してしまっているのです。

喫煙者の吐息にはタバコを吸っていない時でも、一酸化炭素だけでなく、タバコに含まれる約4,000種類以上の有害物質が含まれており、特に一酸化炭素は喫煙者が最後の1本を吸ってから、最低8時間もの間喫煙者の吐息から放出されています。
 

<たばこの有毒物質の一部の例>

タール 石油

数百種類の発癌物質が含まれている、呼吸器の慢性障害の原因となる、
血管収縮作用により、心・脳・腎などへ悪影響をおよぼす、動脈硬化を
促進する

アセトン ペンキの除去剤 生殖能又は胎児への悪影響あり、慢性神経毒性作用あり
ブタン ライター燃料 慢性神経毒性作用あり
ヒ素 アリ殺虫剤 発癌作用あり、肝障害や末梢血管障害を来す
カドミウム カーバッテリー 発癌作用あり、易骨折性となる、高尿酸血症を悪化させる、腎不全を発症する
一酸化炭素 車の排気ガス 酸素を欠乏させ、長期では心・脳・腎などの低酸素による障害の一因となる、
血管の酸化・老化現象を促進させる
トルエン 工業溶剤 中枢神経麻痺、知覚異常、呼吸困難、中毒性精神病

 

<1年間1日20本以上喫煙する方の肺にたまるタールの量>

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禁煙治療を受ける事はご自身の健康を維持し、重篤な疾病を発症しないためだけではなく周囲の方やご家族、ご友人の健康を守る事にもつながります。

近年は数年後のオリンピックに向けて禁煙治療に対する各自治体から補助金を受給する事が出来る場合がありますので、一度お住まいの自治体に確認し、禁煙治療をお受け下さい。

                         もちづき内科クリニック 院長 産業医 望月香織

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産業医紹介ナビが提携している、もちづき内科クリニックでは禁煙外来を開設致しました。
禁煙治療をご希望される方はクリニックまでお問い合わせください。

もちづき内科クリニック
https://www.mochizuki-medical.com

東京都品川区戸越4-9-12 東急大井町線 戸越公園 徒歩3分
電話:03-6426-2711

 

冬場の水分補給

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冬場も水分補給を忘れずに

水分補給が必要なのは、汗をかきやすい夏場だけだと思っていませんか?

私たち人間の体の約60%は水分です。毎日食べ物や飲み物などから2~2.5リットルの水分を摂取し、
尿や便、汗などで同じくらいの量の水分を体から排出しています。
これは季節が変わってもあまり変わりません。

冬場は空気の乾燥により体表の水分が蒸発したり、喉の渇きも感じにくいため、気づかないうちに
水分不足になっていることもあります。冬場でも水分補給は大切なのです。
 

風邪・インフルエンザなどの予防にも水分補給

風邪やインフルエンザの予防としては、手洗い、うがいに加えて水分補給も大事な予防策のひとつ
です。風邪やインフルエンザの原因となるウイルスは、空気が乾燥した状態で活発になり、感染する
リスクが高まります。

水分補給は喉や鼻の粘膜をうるおしてウイルスの侵入を防ぐ事や、侵入したウイルスが咳や痰となり
体外に排出する事を助けます。
 

脳卒中・心筋梗塞予防にも水分補給

冬場には脳卒中や心筋梗塞の発症が増えます。
これは寒くなって血圧が上昇することも一因ではありますが、水分補給も大きく関わっています。
冬場は喉の乾きを自覚しにくい事や、汗をかかなくなるなどの理由で水分摂取が少なくなります。
体内の水分が少なくなると、血液ドロドロの状態となり、結果として脳卒中や心筋梗塞を引き起こす
可能性が高くなります。
 

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水分補給の目安

一日に必要な水分量の目安は「体重(kg)×30ml」です。
体重50kgの方であれば、一日1500mlが目安です。
こまめな水分補給で、ご自身の体格にあった適量の水分補給を心がけましょう。

水分補給は常温の水またはぬるま湯の摂取がお勧めです。
冷たい水は身体を冷やしてしまいます。
また、コーヒーやお茶などは利尿作用があるため水分補給としてはお勧めしません。

                        株式会社メディエイト 保健師 新井 望

 

「風邪」予防しましょう

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風邪とは

風邪は病名ではありません。様々な病原体が鼻や喉などに付着しておこる様々な症状をまとめて
「風邪」と呼んでいます。

風邪の80~90%はウイルス感染によるもので、ウイルスの種類は200種類以上あるといわれています。
気温や湿度が下がり始めたこの時期は風邪をひきやすくなる時期ですので、注意が必要です。

風邪のほとんどの原因であるウイルスに対して、抗生物質は効きません。風邪薬は、熱や鼻水、咳など
の苦しい症状を和らげるために使用する対処療法であり、ウイルス感染そのものを治すものではありま
せん。

風邪を治すのは自然治癒力です。自分の免疫の力で治りやすくなるようサポートしてあげる事が治療の
基本です。
 

風邪予防のポイント

体内にウイルスを取り込まない

手洗いは感染症対策の基本で最も重要です。 せっけんと流水を用いきれいに洗い流す習慣をつけま
 しょう。
マスクは正しく使いましょう。鼻とマスクの間に隙間が開かないように、装着時に小鼻の横を抑え
 つけたり、マスクの内側に小さく折ったティッシュを挟む事も効果があります。

規則正しい生活リズム

・抵抗力をつけるためには、疲労をためないことが大切です。十分な睡眠、バランスの良い食事、
 ビタミン補給、水分補給、適度な運動で日ごろから体調を整えましょう。

体温を調節する

・暖房や加湿器を適度に使用しましょう。
・厚着は体温調節機能を低下させ、寒さに対する抵抗力を弱めてしまします。厚着、極端な薄着は避け
 ましょう。
・入浴は血行を良くし抵抗力を高めます。じっくり温まり、お風呂から出た後も湯冷めしないよう保温
 しましょう。

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職場で確認!! 咳エチケット

他人への感染を防ぐため、咳エチケットを行いましょう。

○ ⇒・マスクを着用
  ・ティッシュ、ハンカチで口や鼻を覆う
  ・袖で口、鼻を覆う

× ⇒・何もしないで咳やくしゃみをする
   →しぶきは2mほど飛びます。他人に病気をうつす可能性があります。
  ・咳やくしゃみを手でおさえる
   →咳やくしゃみを手でおさえると、その手にウイルスが付着します。ドアノブなどを介して
   他の人に病気をうつす可能性があります。

                          株式会社メディエイト 保健師 新井望