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2019年5月

帯状疱疹ワクチンについて

2012年12月に日本内科学会より近年の訪日外国人の増加や日本人の海外渡航者数の増加、各種感染症の複雑化・難治化の傾向への対策の 1 つとして「成人予防接種のガイダンス」が公表されました。

中でも帯状疱疹は、身体の左右どちらかに水疱や発疹が帯状に出現し、チクチクした痛みや痒みの症状のみならず、発疹が改善してからも神経痛などの後遺症に悩まれる方が多い疾患として知られていますが、この帯状疱疹の症状が出にくくなり、また万が一帯状疱疹に罹患してしまっても、つらい神経痛などの症状が軽減する事を目的に、成人予防接種の一つとして日本内科学会から成人向けの「水痘ワクチン」接種が推奨されるようになりました。
 

帯状疱疹とは

"帯状疱疹"は水痘・帯状疱疹ウイルス(vari- cella zoster virus:VZV)によって起こる疾患で、主に幼少期の水痘の初感染の後、長期間、三叉神経節や脊髄後根神経節にウイルスが潜伏し、加齢や疲労など様々な原因 による細胞性免疫の低下をきたした際にウイルスが再活性化し、 末梢神経に沿って帯状の疱疹を呈する疾患で、どの年代でも罹患しますが、特に50歳を過ぎると発症頻度が増加する傾向があります。
 

治療方法

治療方法は、バラシクロビル塩酸塩(バルトレックス)やファムシクロビル(ファムビル)などの抗ウイルス薬をおよそ7日間内服し、ステロイド剤など炎症を抑える外用薬との併用で数週間ほどで治癒することが多いのですが、約20%の患者さんに帯状疱疹後神経痛が遷延します。

発疹や水疱が出来てから、なるべく早く抗ウイルス薬を服用した方が症状が軽く、神経痛も軽度で落ち着く場合が多いのですが、抗ウイルス薬はあくまでもウイルスが体内で増殖するのを防ぐ役目しかなく、ウイルスを消滅させる力は無いと言うことを認識していなければいけません。

ですので、出来るだけ初期のウイルスが少ない早い段階で抗ウイルス薬を飲み始め、症状が治まったように見えてめ処方された日数はきちんと内服薬を飲みきることが重要です。
 

帯状疱疹ワクチンについて


しかし、内服をきちんとしていても帯状疱疹に伴う神経痛は人によっては数ヶ月~何年も痛みが続き、痛みのために眠れない、外出する気持ちにならない、食欲がなくなってしまうなど大人のquality of lifeが大きく損われることがあり、問題となっています。

また眼瞼から角膜に帯状疱疹が出来てしまった方の中には重度の角膜炎による視力低下や失明に至る場合もあり、難聴、耳鳴り、めまい等の耳症状が長期間残ることもあります。
 

帯状疱疹ワクチン

我が国では成人に対する水痘ワクチン接種は数年前まではあまり積極的には推奨されていなかった為、帯状疱疹の予防効果の臨床的有効性を調べた研究結果はありませんでした。

しかし米国では10年以上前から成人用水痘ワクチンの予防効果を検討する臨床検討が行われ、その結果、成人向けの「水痘ワクチン」接種は

 1. 帯状疱疹の発症を100%は抑制することはできないが、発生率自体を約50%は減らせる
 2. 万が一罹患してしまった場合でも神経痛の痛みを軽減し、辛い帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症を
   60%以上軽減できる

という事が判明し2006年に60 歳以上の成人の帯状疱疹予防 ワクチンが承認されました。
その後日本でも国内での臨床検討が重ねられ、2016 年3月からは50歳以上の成人の帯状疱疹予防ワクチンとして承認されています。


ただし、水痘ワクチンはいわゆる病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱めて病原性をなくしたものを原材料として作られる"生ワクチン"である為に、抗癌剤治療や放射線治療、免疫抑制剤を使った治療などを受けられている方や、接種時に免疫力が低下している状態の方には接種を行うことができません。

しかし現在、海外で50 歳以上の成人における帯状疱疹に対する"生ワクチン"でない遺伝子組み換え型の新規ワクチンの開発が進められています。
 

帯状疱疹ワクチンについて


帯状疱疹は一度罹患すると通常は繰り返し罹患する事は少ないのですが、まれに繰り返し帯状疱疹に罹患される方がいらっしゃいます。そういった方は体内の免疫力が極端に低下している疑いがあり、体内にガンなどの悪性腫瘍が発生していないか、全身の精密検査を行う必要があります。

帯状疱疹にならないために個人ができる予防法は、ストレスが増えてきたなと感じたら、積極的に休む時間を確保するようにし、水分やビタミンCを多めに摂取し、免疫力が低下することを防ぐ事が大切です。

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産業医紹介ナビが提携している、もちづき内科クリニックでは帯状疱疹ワクチン接種が可能です。
ご希望される方は、クリニックまでお問い合わせください。
「帯状疱疹ワクチン」 価格:8,640円(税込み)

もちづき内科クリニック
https://www.mochizuki-medical.com

東京都品川区戸越4-9-12 東急大井町線 戸越公園 徒歩3分

電話:03-6426-2711

働き方改革 ~産業医の権限強化②~

少子高齢化による労働人口の減少、長時間労働と過労死問題、労働生産性の低さ等の問題が背景にあり、
日本企業の労働環境を大幅に見直す取り組み「働き方改革」が2019年4月~始まりました。
先月に引き続き産業医業務で見る「健康確保対策」についてお伝えします。

産業医業務でみるポイント

産業医業務でみるポイント

健康管理における産業医の権限強化

産業医は、医学に関する知識と能力の維持向上に努めなければならないこと、労働者の健康管理を行うのに
必要な医学に関する知識に基づいて、誠実に職務を行わなければならないことが明確化されました。
(労働安全衛生法第13.14条)
 
また、安衛則第14条では、「事業者は産業医に対して、第14条第項1項に掲げる事項をなし得る権限を与えなければならない。」とされ、付与すべき権限として下記ア~ウの事項に関する権限が明確化されました。
 

 ア. 事管業者又は総括安全衛生管理者に対して意見を述べること
 イ. 労働者の健康管理等を実施するために必要な情報を労働者から収集すること
 ウ. 労働者の健康を確保するため緊急の必要がある場合において、労働者に対して
    必要な措置をとるべきことを指示すること
 

【第14条第項1項】
① 健康診断・その結果に基づく措置
② 長時間労働者に対する面接指導・その結果に基づく措置
③ ストレスチェック、高ストレス者への面接指導・その結果に基づく措置
④ 作業環境の維持管理
⑤ 作業管理
⑥ 上記以外の労働者の健康管理
⑦ 健康教育、健康相談、労働者の健康の保持増進措置
⑧ 衛生教育
⑨ 労働者の健康障害の原因の調査、再発防止

これら①~⑨すべてに産業医の権限があります。
 

産業医業務でみるポイント


以上、働き方改革における、産業医業務でみた「健康確保対策」についてお伝えしました。
この法改正をきっかけに、事業者、産業医(健康管理スタッフ)が今まで以上に連携し、各社の健康管理体制を整え、従業員が安心して働ける環境、健康相談しやすい環境等を構築して頂けたらと思います。

株式会社メディエイト 保健師 新井 望

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株式会社MEDIATEは、産業医紹介事業の経験から、様々な企業の抱える問題にメスを入れることができます。スポット依頼をはじめ、柔軟な対応で企業の健康を守ります。
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