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2019年3月

花粉症治療と薬の種類

もちづき内科クリニック院長 産業医 望月香織先生に花粉症治療と薬の種類について伺いました。
 

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花粉症の季節到来ですね。クリニックを受診される患者様や産業医として訪問する企業の従業員の皆様もこの時期は、花粉症の症状で悩まれている方が多いようです。

花粉症とは、スギやヒノキ、雑草などの植物や木々の花粉が鼻、目、耳、気管支の粘膜に触れることによって鼻水やくしゃみ、鼻づまり、耳の中のかゆみ、咳、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こすことを指します。

日本は戦後にたくさんのスギやヒノキの木を植樹しました。そのおかげで山は豊かになりましたが戦後70年が経過し、木々が立派に成長したため逆に非常に大量のスギ花粉が飛散することになり、そのため日本では花粉症の原因の約70%がスギ花粉症と言われています。

近年は日本に住まれている在留外国人の方々も増加していますが、日本はとくに春スギ花粉が大量に飛散するので、初めて花粉症の症状が出現し、医療機関を受診するかたが増えてきています。
 

花粉症の症状

花粉症の症状

花粉症の症状は主にくしゃみ、透明でサラサラした鼻水、鼻詰まり、鼻出血などのアレルギー性鼻炎の症状と、目の充血やかゆみ、痛みなどのアレルギー性結膜炎の症状、耳のかゆみ、耳閉感、目眩などの耳の症状、咳や痰、息切れなどの呼吸器の症状、頭痛や黄色鼻水、首や顔面の痛みなどの副鼻腔炎症状、腹部膨満感や便秘、嘔気、食欲不振などの消化器症状、口の中の違和感や口内炎、喉の痛みなどの口腔内症状、微熱や倦怠感などの全身症状があります。

花粉症は、各患者さんの免疫力の低下や疲労の状態、その年に飛散する花粉の量によっても出現する症状や症状の強さが変化します。

また花粉症のいわゆる典型的な鼻水、目のかゆみと言った症状がある場合、その症状を風邪の症状だと思い、医療機関を受診するタイミングを逃し、花粉症の治療が遅れてしまう場合があります。

花粉症は風邪の症状と重複する症状も多く、また風邪をきっかけに花粉症の症状が悪化する場合もあるので、春や秋に鼻水や鼻閉、頭痛などの症状がある場合には自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
 

花粉症が悪化してから治療を始めると一度出現した症状が落ち着きずらくなり、薬の効果が充分に出るまでに時間がかかってしまいます。最近では、1月末くらいから、内服や点眼、点鼻薬での治療を少しずつ始める初期治療という方法が推奨されています。

花粉症の強い症状が現れる時期を遅らせたり、症状を軽くしたり、症状が出現する期間を短くする、薬剤の使用を少なくできるなどの良い点がありますので早めの受診をお勧めします。
 

花粉症の薬の種類

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花粉症の薬には大きく分けて
 1. 内服薬
 2. 点鼻薬
 3. 点眼薬
があり、

内服薬には
アレルギー症状自体を抑制する
 1. 第2世代抗ヒスタミン薬
 2. ケミカルメディエーター遊離抑制薬
 3. Th2サイトカイン阻害薬
があり、症状に合わせて選択し、場合によっては2種を併用します。

鼻閉の症状に対しては
 1. 抗ロイコトリエン薬
 2. 抗プロスタグランジン薬
 3. トロンボキサンA²阻害薬
 4. Th2サイトカイン阻害薬
 5. 鼻噴霧用ステロイド薬
などを処方し、

くしゃみ・鼻水が喉にたれてくるなど複合した症状の方には
 1. 鼻噴霧用ステロイド薬
 2. 第2世代抗ヒスタミン薬
を併用したり、

鼻閉を主とする症状の方には
 1. 鼻噴霧用ステロイド薬
 2. 抗ロイコトリエン薬または抗プロスタグランジン薬またはトロンボキサンA2阻害剤
を併用するなどの方法があります。

また点鼻薬にも抗アレルギー薬とステロイド点鼻薬があり、その中にも作用強さや、パウダー剤、細かな霧状の噴霧剤の違いなどがあり症状に合わせて選択します。

点眼薬にも同様に、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド剤があり、当院では主に抗アレルギー点眼薬と抗ヒスタミン点眼薬を処方しております。

理由としましては万が一緑内障などをお持ちでもご自身で気が付いていらっしゃらない場合や、眼球や角膜に何らかの疾患がある場合にステロイド点眼薬を使用することにより症状が悪化する可能性があるため、抗アレルギー、抗ヒスタミン点眼薬に効果が見られない場合には当院では安易なステロイド点眼薬の処方をせず、眼科の専門医をご紹介しております。
 

日常生活からの改善

日常生活からの改善

花粉症をはじめとしたアレルギー疾患にとっては全般的に日常生活の改善も重要です。
 1. 睡眠時間の確保 (6-7時間/日)
 2. バランスの取れた食事(粘膜の免疫力強化の為のビタミン、ミネラル、良質なタンパク質の摂取)
 3. 口腔内ケア(歯磨きやうがい、入れ歯の正しい、定期的な歯石クリーニングなど)
 4. 定期的な運動(全身の血液循環を良くすることで身体全体の免疫力を上げるため)
が必要です。

また近年は腸内細菌とアレルギー疾患の関連について世界中の医師や研究者が研究を続けており、ある種の乳酸菌を定期的に摂取し、腸内環境を改善、腸内細菌叢を整えることでアレルギー疾患の症状を緩和することが出来ると言う結果が出ていますので、定期的な乳酸菌の摂取やサプリメントの摂取もアレルギー治療には推奨されはじめています。

生活習慣改善、サプリメントを上手に取り入れ花粉症に負けない体づくりをめざしましょう。

もちづき内科クリニック院長 産業医 望月香織

復職判定と産業医の関係について

休職をする労働者がいる場合、復職判定について基準等、明確に定めておかなければなりません。この復職判定にあたっては産業医が重要になってきます。トラブル防止のためにも復職時には産業医を活用するようにしましょう。

 

1. 復職に必要な流れ

休職理由にもよりますが、一度休職していた労働者が復職を希望するに至ったとき、あらかじめ取り決めをしっかりと行っていなかったことが原因でトラブルになることも珍しくありません。復職に関わるトラブルとしてはやはり、復職判定の基準が明確でなかったことが関係してきます。

 

トラブルなく復職まで迎えるにはプラン練ることが必要です。特にメンタルヘルスの問題で休職することになった場合には休職中に療養に専念できるよう、企業側の支援も必要です。復職にかかる事務手続きにはどのような手順が必要で、労働者は何を用意しなければならないのか、不安のないように説明をしておかなければなりません。

 

また、主治医により職場復帰可能かどうか、診断書の提出を求めることになります。労働者本人の意向だけでなく、専門家の意見を取り入れ業務が今後できるのかどうか判定します。しかし主治医は職場のことまで詳しく知っているわけではありません。そして医師だからといって、その判断が絶対的に正しいとも限りません。産業医を選任している場合には、産業医の精査も通して総合的に判断することが大切になるでしょう。

 

さらに、復職が可能であると判断したとしても、その後のフォローが必要かもしれません。休職していた労働者の支援のプランを立て、まだ治療が必要であればそのために必要な配慮として何があるのか、また、別の特別な配慮や観察が必要なのかどうかなど、話し合ってからの復職をするようにしましょう。復職後担当する業務の内容などについても事前に把握することができれば労働者としても安心感が得られることでしょう。

 

2. 復職と産業医の関係

50人以上の事業場で選任義務が発生する産業医ですが、健康診断の結果等に対する面談などに限らず、休職や復職の際には重要な役割を担います。主治医によっても判定してもらうことはできますが、産業医の意見を取り入れることも大切です。特に復職が可能かどうかについては精神疾患等を専門にする産業医がいると心強いです。

 

医師と言ってもそれぞれに専門の分野があり、できることにも個人差があります。専門外のことについてはノータッチにしている医師もいます。そのため、できるだけ専門的な知識や経験を持つ産業医を選任しておく必要があるでしょう。

 

事業者は業務内容については詳しくても、医学のことについてはまったくの素人です。勝手な判断で休職や復職の判断をするのではなく、明確な基準のもと専門家である産業医がその判定に加われば、労働者も納得がいきやすいです。企業には労働者に対し産業医の存在について周知させる義務があるため、普段から、何か問題があれば産業医に相談するようにし、活用しやすい環境を提供してあげましょう。形だけでなく、産業医としての役割を全うさせることでトラブルのない復職を目指しましょう。

 

3. 主治医と産業医で意見が異なる場合

主治医や産業医のように専門家の意見を取り入れて復職判定をすることは大切です。しかし主治医の意見と産業医の意見が割れることがあります。このような場合、事業者としてはどうすべきなのでしょうか。

 

この場合、必ずしも答えが決まっているわけではなく、その状況に合わせて判断をすべきです。しかし一般的に主治医は患者である労働者の意見を尊重する傾向があり、そして企業側の状況までは把握できていません。これに対して産業医は企業側と労働者側、両方の意見を聞くことができ、労働者にアドバイスをすることも、企業に対し必要な措置を取るよう勧告をすることもできます。そして企業側としても産業医に対し不当な扱いはできません。つまり、企業側の意見と対立するからといってその産業医を解任するようなことは許されないのです。

 

そもそもこのようなことができてしまうと産業医の立場は弱くなり、大した意味を持たなくなってしまいます。事業者には産業医の意見を十分に尊重する必要があるのです。特に常勤する産業医であれば職場の状況をよく理解しています。こうしたこともあり、主治医と意見が分かれていたとしても産業医の意見は尊重すべきで、主治医の判断を加味しながら産業医の意見を採用するという考え方が重要になってくるでしょう。

 

4. まとめ

復職判定はあいまいな基準で行ってはいけません。特にメンタルヘルスの問題はデリケートです。できるだけ専門家である主治医、もしくは産業医の意見を聴取し、必要であれば就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮などの措置も考えなくてはなりません。復職判定のための基準は事後的に決めるではなく、休職期間に入る段階で決めておく必要があります。

 

さらに産業医が選任されているのであれば主治医だけでなく産業医の意見も取り入れるようにしましょう。専門知識に加え、実際の職場を知っているからこそできる判断もあります。

 

嘱託産業医と専属産業医の違いとは

ある条件を満たす事業場には産業医が必要になります。産業医は医師とは役割も権限も異なります。また、産業医にも「嘱託産業医」と「専属産業医」が存在します。事業場の規模などに応じてそれぞれ選任のルールが定められているため、その規定内容をしっかりと把握するようにしましょう。

 

1. 嘱託産業医とは

事業場の労働者数が50人以上であれば産業医の選任が必要になってきます。これは法律に定められている義務であり、企業は定められている要件通りに産業医の選任をしなければ50万円以下の罰金に処される可能性があります。主に事業場の規模、常時使用する労働者数で判定され、また一部の事業内容についてはやや異なる規定が設けられています。

 

労働者数が50人以上であれば選任することになりますが、一つの事業場に3001人以上労働者がいる場合には産業医を2人選任しなければなりません。さらに、産業医にも分類があり、嘱託産業医と専属産業医に分かれます。嘱託産業医は「非常勤」の産業医のことで、事業場あたりの労働者数が999人までであれば嘱託産業医を1人選任するだけでよいと定められています。

 

しかし以下13項目いずれかの業務を行う事業場であり、かつ、500人以上の事業場であれば非常勤の産業医では不十分とされています。

 

1.多量の高熱物体を取扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

2.多量の低温物体を取扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

3.ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務

4.土石、獣毛等の塵埃又は粉末を著しく飛散する場所における業務

5.異常気圧下における業務

6.削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務

7.重量物の取扱い等重激な業務

8.ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

9.坑内における業務

10.深夜業を含む業務

11.水銀、砒素、黄燐、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、一酸化炭素、 二硫化窒素、亜硫酸、ベンゼン、アニリン、その他これらに準ずる有害物の ガス、蒸気、又は粉塵を発散する場所における業務

12.病原体によって汚染のおそれが著しい業務

13.その他厚生労働大臣が定める業務

 

嘱託産業医についてまとめると、

・非常勤の産業医

・999人以下の事業場で選任可能

・一部の業務では499人以下の事業場に限られる

となります。

 

2. 専属産業医とは

専属産業医は嘱託産業医と対にして考えられ、「常勤」の産業医ということになります。規模が大きく、また、危険な業務などを行う事業場でも選任の必要が出てきます。具体的には各事業場において1000人以上の労働者がいる場合と、上で挙げた13項目に該当する業務であれば500人以上の労働者がいれば専属産業医の選任が求められます。また、3001人以上の事業場では2人の産業医が必要とのことでしたが、この2人について専属産業医、つまり常勤の産業医である必要があります。

 

専属産業医についてまとめると、

・常勤の産業医

・1000人以下の事業場で選任可能

・一部の業務では500人以上の事業場でも必要

・3001人以上の事業場では2人専属産業医が必要

となります。

 

3. 産業医と医師の違い

産業医と医師について、何が違うのか整理しておきましょう。産業医も医師の一部になりますが、一般的に言われる医師とは役割や権限が異なります。産業医は医師として医学の専門的な知見を持っていることは大前提で、産業保健や労働衛生に関する専門知識を有している必要があります。そのため、医師が企業から選ばれれば当然に産業医となるわけではなく、医師がある条件を満たさなければ産業医にはなれません。

 

産業医の条件としては労働安全衛生法第13条2項に定められており、

「産業医は労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める一定の要件を備えた者でなければならない」

と規定されています。この条文にある「一定の要件」は、次の第14条2項に定められています。

 

1.厚生労動大臣が定める産業医研修の修了者。

2.労働衛生コンサルタント試験に合格した者。

3.大学において労働衛生を担当する教授、助教授、常勤講師の職にあり、又はあった者。

4.産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者。

 

このいずれかを満たすことで産業医として認められます。厚生労働大臣が定める産業医研修には2つあります。1つは日本医師会の産業医学基礎研修、そしてもう1つは産業医科大学の産業医学基本講座になります。

 

産業医として働く場合、通常の医師と比べてその活動場所や対象者、仕事内容、必要な知識や経験、技能に特徴の違いがあります。職場の作業環境改善に向けた取り組みを行い、事業者に対して勧告権限を有するという点は特に医師との相違点であると言えるでしょう。

 

4. まとめ

事業者は産業医をできるだけ有効活用し、労働者の健康保持・管理をすると良いでしょう。ただし産業医選任の基準についてはよくチェックし、各事業場に何人の労働者がいるのか、そして特例措置のとられている一部の業務内容に該当しているのか、ということは把握しておくべきです。その人数や業務内容に応じ嘱託産業医で良いのか、専属産業医が必要なのかが変わってきます。また3000人を超える大きな事業場では常勤である、専属産業医が2人必要になるということも覚えておきましょう。

 

麻しん(はしか)について

国立感染症研究所は2月26日、2019年に入ってからの麻しん(はしか)の患者数が2/26迄で222人に
なったと発表しました。

直近の1週間では48人が新たに感染し、過去10年で最多ペースとなっており、今後も注意が必要です。
 

麻しんとは

麻しんとは

麻しんは、麻しんウイルスによる感染症で、「はしか」とも呼ばれます。空気感染が主な感染経路です。

非常に強い感染力を持ち、麻しんに対する免疫を持たない人が、感染している人に接すると、ほぼ100%
の人が発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。

麻しん患者の半数以上は成人で、成人が麻しんに感染すると子供より重症化しやすいと言われています。
重症化すると、肺炎や中耳炎を合併しやすく、患者1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われてい
ます。 
 

  潜伏期間:10~12日の潜伏期間を経て発症。
   ↓
  初期(カタル期):発熱、咳、鼻水、のどの痛み等風邪に似た症状、目の充血や目やにが2~4日続く。
   ↓
  発症期:39度を超える高熱とともに全身に発疹ができる。
   ↓
  回復期:解熱後、赤い発疹は黒ずんだ色素沈着となりしばらく残る。
         合併症がなく重症化しなければ発症から7~10日で回復。
 

予防法は?

予防法は?

麻しんの最も有効な予防方法はワクチン接種です。麻しんは、感染力が非常に強く、空気感染もする
ので、手洗い、マスクだけでは予防できません。

2006年以降は、1歳と5~6歳の2回定期接種となっているので、きちんと受けていれば免疫を獲得でき
ていると考えられます。それ以前は、1回の定期接種や任意接種であったため、多くの方は十分な免疫
がついていない可能性が大きいのです。

麻しんにかかったことがない方は、母子手帳などでワクチンの接種回数を確認し、ワクチン接種を2回
受けていない方はワクチン接種を検討してみましょう。
採血で抗体検査での確認も可能です。ワクチン接種や抗体検査は医療機関で相談できます。 
 

感染の疑いがある場合は

感染拡大を防ぐために、感染の疑いがある場合は医療機関に連絡をしてから受診するようにしてください。

                           株式会社メディエイト 保健師 新井 望