産業保健ニュース
外国人労働者の雇用における快適環境づくり
近年、外国人労働者は増え続けており、人手を求める企業にとっても良い傾向と言えます。しかし雇用するには留意しなくてはならない点も多く、外国人労働者がストレスを貯めないためにもサポート体制を整えていくことが大切です。当コラムでは、外国人労働者の現状や労働に関する注意点、問題解決のための産業医の利用などについてまとめています。
増え続ける外国人労働者
外国人労働者を雇用する注意点
募集や採用
労働条件
労働環境
労災保険の確保
雇用の安定や福祉
外国人労働者は必要不可欠
英語能力の高い産業医が必要不可欠
ストレスチェック制度を導入後の企業対応について
ストレスチェック制度が義務化され、多くの企業で実施されるようになりました。しかし実施するだけではなく、その先の対応をどのようにしていくのかが重要になります。そのためには企業による取り組みだけでなく、産業と連携を取りながら進めていくことが大切です。
「ストレスチェック制度」導入が8割越え
どうして面接指導が増えないのか?
ストレスチェック制度の実施
対象者
高ストレス者の基準とは?
高ストレス者への対応について
産業医との面談でメンタルヘルスを未然防止
人事必見!産業医と見直す休職者・復職者への対応
休職者が出た場合、人事担当者は産業と連携して対応していく必要があります。産業医は医師として専門的な判断を下し、人事は休職者に対して休職中の過ごし方や復帰についてフォローをしていくことになります。そこで休職者や復職者に対して、対応すべきポイントについてまとめていきます。あらかじめポイントを押さえておき体制を整えておくと、休職者が出てしまってもスムーズな対応ができるでしょう。
労働安全衛生法の「ストレスチェック制度」とは?
メンタル不調の休職
休職前への確認ポイント
休職中の過ごし方
休職者へのフォロー
職場復帰の準備
復帰のためのリハビリ
企業と本人のマッチング業務
就業規則の見直し・改善
休職や復職の判定は産業医へ
【50人未満の事業場向け】ストレスチェック制度の導入メリット
事業場が50人未満であれば、ストレスチェックの義務がありません。しかし必要に応じて実施を検討した方が良いケースもあります。また、義務がなかったとしてもこの制度を導入することによるメリットも存在します。
50人以上の事業場がストレスチェックの義務
50人未満の事業場でもストレスチェックをおすすめする理由
メンタルヘルス不調者が発生しやすい会社
長時間労働が常態。または、業務負債が高い会社
産業医や衛生管理者など、産業保健スタッフを確保できる会社
複数の事業場を持つ会社で、義務化の対象が本社などにあり、対象外規模の支店や営業所など
導入によるメリット
負担無く実施できる
助成金の支援
産業医の上手な利用で働きやすい環境へ
韓国における中東呼吸器症候群(MERS)の輸入症例
韓国における中東呼吸器症候群(MERS)の輸入症例
メディアリリース (WHO西太平洋事務局) 2018年9月9日
韓国は、中東呼吸器症候群(MERS)の輸入例を正式に報告しました。これは2015年のアウトブレイクが終わって以来、韓国国内で初めて見られた症例です。
この症例は、8月16日から9月6日まで仕事のためクウェートに渡航した61歳の男性です。彼は韓国に戻った直後に発熱、下痢、呼吸器症状で入院し、現在は隔離されて治療を受けています。
韓国の国際保健規則に関する国の連絡窓口(National International Health Regulations Focal Point)は、9月8日に世界保健機関(WHO)に報告しました。同じ日、MERSであることが検査室で確認されました。
この症例は珍しいものですが、MERSが中東以外の地域で出現することもあります。医療施設における適切な感染予防と感染管理措置、接触者の追跡、公衆通信などの迅速な対応策の実施によって、感染拡大のリスクを最小限に抑えることができます。WHOは、必要な対応について韓国疾病管理予防センター(KCDC)と協議しており、必要に応じて、さらなる支援を行う用意があります。
MERSは、2012年にサウジアラビアで最初に確認された新規コロナウイルス(MERS-CoV)に起因しています。その後、WHOはこの病気のモニタリングを続けており、27カ国から2200件以上の検査室確定症例が確認されました。典型的なMERS症状には、発熱、咳、息切れなどがあります。肺炎は一般的ですが、常に存在するとは限りません。下痢を含む胃腸症状も報告されています。約3分の1の症例では、この病気は致命的です。
この疾病とヒトコブラクダとの間には関連性があるように見えますが、これまでの大部分のヒトの症例は医療施設で発生しています。このウイルスは、患者と看護している人の間など緊密な接触がない限り、ヒトからヒトへと容易には感染しないようです。したがって、感染予防および管理措置の実施は、医療施設におけるMERS-CoVの予防にとって重要です。
WHOは、MERS-CoVに関連する渡航または貿易の制限、または入国審査entry screeningの適用を推奨しません。
出典
Case of imported MERS reported in Republic of Korea
Media release, 9 September 2018, WHO WPRO
http://www.wpro.who.int/mediacentre/releases/2018/20180909/en/#
厚生労働省検疫所FORTH HPより引用
https://www.forth.go.jp/topics/20180910.html
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労働安全衛生規則45条の2には、労働者を海外に6カ月以上派遣する者については派遣前後の健康診断の実施が事業主に義務づけられています。 6月以上海外勤務した労働者を帰国させ、国内の業務に就かせるときも、健康診断を行わなければなりません。
赴任前は、時間も限られ準備等に忙しくなりますので、早めに企業の産業医に海外派遣に関する健康管理についての意見を確認したり、健康診断による健康チェッ クを行いましょう。
海外に従業員を派遣している企業は、赴任前後においての健康に関する教育、情報提供を行う義務があります。
感染予防と事前のワクチン接種、医療保険制度、赴任先の医療機関リスト、メンタルケアなどの注意点について健康対策を行いましょう。 産業医紹介ナビでは、海外赴任前後の従業員の健康確保に関する教育、指導を行える産業医をご紹介致します。お問い合わせください。
水痘・帯状疱疹の動向とワクチン
水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus, 以下VZV)は, ヘルペスウイルス科αヘルペスウイルス亜科に属し, 初感染時に水痘を引き起こす。初感染後2週間程度(10~21日)の潜伏期間を経て, 紅斑状丘疹が出現しその後水疱となる。発熱を伴うことも多く, 全身に紅斑, 丘疹, 水疱, 痂皮それぞれの段階の皮膚病変が混在するのが特徴である。水痘は小児期に好発する予後良好な発熱発疹性疾患である。空気, 飛沫, 接触感染の経路で人から人に伝搬し, 感染力が極めて強い。皮膚の二次性細菌感染, 肺炎, 髄膜炎, 脳炎, 小脳失調などが合併することがある。水痘は学校保健安全法による第2種学校感染症で, すべての発疹が痂皮化するまで出席停止である。成人になってから水痘に罹患すると重症になることが多い。また, 免疫抑制患者では水痘は極めて重症となり生命に関わることもある。
VZVは感染後終生にわたり, 主として脊髄後根神経節(三叉神経節を含む知覚神経節)に潜伏感染し, 加齢や免疫能低下などにより再活性化する。再活性化したVZVは神経節支配領域の皮膚上皮細胞に到達し, 帯状疱疹を発症させる。帯状疱疹患者の水疱液や気道分泌物(唾液を含む)に含まれるVZVには感染性がある。帯状疱疹の合併症である帯状疱疹後神経痛 (postherpetic neuralgia, 以下PHN) は, 皮疹消失後3カ月以上疼痛が持続する病態であり, 加齢は重要なリスク因子である。
感染症発生動向調査:水痘は感染症法に基づく5類感染症定点把握疾患で, 全国約3,000カ所の小児科定点医療機関から患者数が毎週報告されている(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-19.html)。
1999年に感染症法が施行されて以降, 小児科定点から報告される水痘患者数は年間約20万人で, 年間受診患者数は約100万人と推定されていた。2012年には小児科定点からの報告数は20万人を下回り, 2014年にはさらに減少して約15万人となった。2014年10月に, 水痘ワクチンが小児の定期接種に導入されたことで, 報告された患者数はさらに大きく減少した(図1)。2014年までは0~4歳の乳幼児の割合が水痘患者全体の7~8割を占めていたが, 2015年以降その割合は減少し, 2017年は約4割まで低下した。5~14歳の水痘患者が報告数全体に占める割合は増加したものの, 報告数は減少した(図2)。
水痘ワクチン定期接種化に先立ち2014年第38週(9月15日~21日)から, 24時間以上の入院を要した水痘患者(他疾患で入院中に発症し, その後24時間以上入院した症例も含む)は全数届出対象となった(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-140912-2.html)。水痘ワクチン定期接種化後, 5歳未満の患者の割合が34%から11%に減少した。2017年には入院した水痘患者の70%が成人であった(本号3ページ)。
水痘ワクチン定期接種化:水痘ワクチン(Oka株)は1974年に日本で開発された弱毒生ワクチンで, 1987年から任意接種として接種が始まり, 2014年10月から定期接種 (A類疾患) 対象となった。ワクチン接種後の水痘罹患(breakthrough varicella, 以下BV)は一般に軽症である。BVを発症するリスクを低減させるため, 日本では生後12~36か月に至るまでの児を対象に3カ月以上(標準的には6~12カ月)の間隔をあけて水痘ワクチンを2回接種することが勧奨されている。愛知県で実施された調査では, ワクチン2回接種の高い有効性が確認されている(本号4ページ)。米国では1996年から定期接種化され, 2006年から2回接種となった。
抗体保有状況:2017年度感染症流行予測調査によると, 年齢別水痘抗体保有率は, 1歳, 2歳, 3~4歳で, それぞれ32.1%, 46.8%, 37.3%であった(図3)。定期接種化前と比較すると1歳児の抗体保有率は上昇しているものの, 依然として小児では50%を下回っていた。20歳以上の成人の抗体保有率は95.2%であり, 成人の多くはすでに免疫を有していることが確認された(本号5ページ)。ただし, 成人水痘は重症化することが多く, 接種歴, 罹患歴のない成人にはワクチン接種が推奨される(本号7ページ)。
帯状疱疹予防ワクチン:帯状疱疹予防ワクチンは, 帯状疱疹の発症率を低減させ, 重症化を予防するとともに, 間接的にPHNの発症リスクを低減させる。
高齢者・免疫抑制剤投与を受けている患者・臓器移植患者等では潜伏感染していたVZVが再活性化し, 帯状疱疹を発症するリスクが高い(本号8ページ)。兵庫県, 宮崎県内で実施された帯状疱疹の疫学調査では(本号10&11ページ), 近年の小児における水痘ワクチンの定期接種化により, 国民はVZVに曝露される機会が減少し, 自然感染によるブースター効果が減弱することが指摘されている。また, 高齢化が進行していることから, 帯状疱疹患者が増加すると指摘されている。
日本では2016年に乾燥弱毒生水痘ワクチンの効能・効果に, 「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」が追加された。これにより帯状疱疹を予防する目的で乾燥弱毒生水痘ワクチンを受けることができるようになった(本号13ページ)。しかし, 妊婦や明らかに免疫機能に異常のある患者および免疫抑制をきたす治療を受けている者は接種を受けることができない(接種不適当者)。
2017年10月に米国, カナダで, 2018年3月に欧州, 日本で承認された乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)は, VZVの遺伝子組換え糖タンパク質gEにアジュバントAS01Bが加えられたサブユニットワクチンである(本号14ページ)。帯状疱疹発症阻止効果は大規模臨床試験で確認されている。水痘の予防接種に用いることは認められていない。通常, 50歳以上の成人に2カ月間隔で2回, 筋肉内接種するが, ワクチンによる重篤な有害事象や自己免疫性疾患の増加などは報告されていない。
抗ウイルス薬:水痘・帯状疱疹の治療薬として, 核酸アナログであるアシクロビル, バラシクロビル, およびファムシクロビルが使用されている。また, 最近, ヘリカーゼ・プライマーゼ阻害薬であるアメナメビルが帯状疱疹に対する治療薬として製造販売承認された(本号16ページ)。
検査診断:通常, 水痘や帯状疱疹は臨床的に診断される。しかし, BVあるいは発疹の性状が典型的でない場合には, ウイルス学的検査が診断に必要である。水疱内容液, 脳脊髄液(中枢神経感染症が疑われる場合), 末梢血単核球から, PCR法によりVZV DNAを検出する。また, VZV抗原を検出する方法もある。水疱内容液を用いたウイルス分離も有用な検査法であるが, 検出に時間がかかるなどの制約がある。血清学的診断にはEIA法によるVZV IgM, IgG抗体検査が用いられることがある。検査手法の詳細は国立感染症研究所病原体検出マニュアル(https://www.niid.go.jp/niid/ja/labo-manual.html#class5) を参照されたい。
まとめ:水痘ワクチンの定期接種化により, 患者報告数の著明な減少が認められている。一方で, 近年の高齢化の進行から帯状疱疹患者の増加が示唆されている。今後, 小児における水痘ワクチンの高い定期接種率を維持することが必要であり, また, 帯状疱疹ワクチンによる予防についても検討が必要である。
(国立科学研究所HPより引用)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/787-disease-based/sa/varicella/idsc/iasr-topic/8223-462t.html
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産業医紹介ナビが提携している、もちづき内科クリニックでは帯状疱疹ワクチン接種が可能です。
ご希望される方は、クリニックまでお問い合わせください。
もちづき内科クリニック
https://www.mochizuki-medical.com
東京都品川区戸越4-9-12 東急大井町線 戸越公園 徒歩3分
電話:03-6426-2711
海外から帰国後の体調異変はもしかしたら風疹かも!
海外から帰国後の体調異変はもしかしたら風疹かも!診察をうけてから職場へ
海外旅行(出張)中に現地で風疹ウイルスに感染し、帰国後発症し、軽い“かぜ”と考え出勤して職場で流行させたり家族に感染させる事例が多くあります。
海外出張の多い企業、組織では職場としての感染症対策を十分にとられることを強く推奨しかつ要望します。
⇒ 国立感染症研究所 「職場における風しん対策ガイドライン」
疹が流行している地域(*1):2015-2016年の報告数:トップ20 WHOホームページより
国名 |
2016年 |
国名 |
2015年 |
インド |
8274 |
中国 |
8133 |
中国 |
4535 |
インド |
3252 |
インドネシア |
1238 |
インドネシア |
2156 |
スーダン |
996 |
ウガンダ |
1055 |
南アフリカ共和国 |
819 |
スーダン |
1052 |
ネパール |
656 |
ベトナム |
798 |
パキスタン |
648 |
ネパール |
626 |
ナイジェリア |
503 |
ナミビア |
625 |
ベトナム |
413 |
コンゴ民主共和国 |
464 |
ケニア |
331 |
ケニア |
422 |
ギニア |
289 |
ナイジェリア |
419 |
ウガンダ |
289 |
中央アフリカ共和国 |
354 |
トーゴ |
276 |
エチオピア |
328 |
コンゴ民主共和国 |
204 |
パキスタン |
282 |
マダカスカル |
204 |
カメルーン |
277 |
コートジボワール |
192 |
ウクライナ |
248 |
エチオピア |
184 |
タイ |
240 |
フィリピン |
179 |
アンゴラ |
228 |
バングラデシュ |
165 |
バングラデシュ |
189 |
ウクライナ |
150 |
アラブ民主共和国 |
177 |
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黄熱 - フランス領ギアナ
Disease outbreak news 2018年8月24日
2018年8月14日、世界保健機関(WHO)は、WHOヨーロッパ地域事務局からフランス領ギアナで確認された黄熱症例についての情報を受け取りました。2018年8月10日、アルボウイルスに関する国のリファレンスラボ(National Reference Centre)のギアナパスツール研究所は、ギアナ在住のワクチン接種を受けていない47歳のスイス人男性について、検査室で確認された黄熱の感染を土着のもの(その土地で獲得されたもの)だと報告しました。2018年4月以来、この症例はフランス領ギアナ、Rouraコミューンの森林地域に住んでいます。2018年8月4日、彼はインフルエンザ様症状を発症し、8月8日、劇症肝炎を発症して、フランス領ギアナ、カイエンヌの病院に入院しました。2018年8月9日、フランス、パリへ移送され、肝臓移植を受けました。
疫学的および昆虫学的調査が実施されており、患者の宿泊施設の地域で新たな症例は確認されていません。追跡調査の間、症例患者の接触者はヒト以外の霊長類の異常な死亡の報告はなかったということを明らかにしました。
国のリファレンスラボ(National Reference Centre)で逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)試験を実施し、黄熱ウイルスが陽性でした。
公衆衛生上の取り組み
フランス領ギニアの保健当局はいくつかの公衆衛生対策を実施しています:
・リスク管理ゾーン(宿泊施設、保健医療施設、空港)の周辺では、昆虫媒介の管理対策が強化されています。
・黄熱に対する意識を高めるために、医療従事者に情報が広められています。
・黄熱の予防対策に関するメッセージは、地域の認識と予防接種の促進のために、マスメディアキャンペーン(報道発表、ラジオ)を通じてフランス領ギアナで発信されています。
・旅行者の予防接種の管理が強化されています。
WHOのリスク評価
黄熱は、急速に広がり、免疫されていない集団において重大な公衆衛生上の影響を引き起こす可能性がある急性ウイルス性出血性疾患です。予防接種は感染を防ぐ最も重要な手段です。
フランス領ギアナは黄熱伝播の危険性があると考えられており、1歳以上の旅行者には黄熱予防接種証明書が要求されます。フランス領ギアナでの予防接種の実施率は最適(80%以上)です。しかし、いくつかの集団(非合法の鉱山労働者等)では接種率が最適ではない可能性があるため、これらの集団は黄熱感染の危険性があります。
WHOからのアドバイス
黄熱の伝播の危険にさらされている地域を訪問する、または住むことを計画している旅行者へのアドバイスは以下のとおりです。
・旅行の少なくとも10日前に黄熱に対する予防接種を受けます。黄熱ワクチンの単回投与は、黄熱に対する予防を生涯にわたって保証するには十分です。ワクチンの追加接種は必要ありません。
・蚊に刺されることを防ぐための措置の観察
・黄熱の徴候と症状の認識
・旅行中および黄熱の危険にさらされている地域、特に地域の伝播サイクルが確立している国(すなわち、感染能力のある媒介昆虫が存在する場所)を旅行中に、または帰国に際してヘルスケアを求める行動の促進。
この報告書は、黄熱予防接種の必要性に対する意識を維持することの重要性を示しています。特に黄熱伝播のための好都合な生態系がある地域ではそうです。
したがって、WHOは、すべての潜在的な流行地域への旅行者の予防接種状態の管理を強化するよう、加盟国に思い起こさせます。ウイルス血症状態で帰国した旅行者は、感染能力のある媒介昆虫が存在する地域では、黄熱伝播の地域の循環を確立するリスクを負う可能性があります。予防接種を受けられないという医学的根拠がある場合は、適切な当局の認定を受けなければなりません。
WHOは、この事象に対して入手可能な情報に基づいて、フランス領ギアナに対して、一般的な旅行や貿易の制限を適用することを推奨していません。
出典
Yellow fever - France - French Guiana
Disease outbreak news, WHO 24 August 2018
http://www.who.int/csr/don/24-august-2018-yellow-fever-french-guiana/en/
参考
◆参考1
Going to French Guiana : yellow fever vaccination
Embassy of France in Stockholm, Sweden
https://se.ambafrance.org/Going-to-French-Guiana-yellow-fever-vaccination
WHOからの情報では、フランス領ギニアへの入国に際して、黄熱に対する予防接種証明書が要求されるのは、1歳以上とされていますが、在スウェーデン・フランス大使館によると、『9ヶ月以上』のすべての訪問者とされています。
◆参考2
FRENCH GUIANA
Recommended vaccinations
The Institut Pasteur, France
https://www.pasteur.fr/en/medical-center/prepare-your-travel/french-guiana
同じくWHOからの情報では、黄熱ワクチンの追加接種は不要とされていますが、フランス公衆衛生評議会(HCSP: the French High Council for Public Health)は以下の場合について、黄熱ワクチンの2回目の接種を推奨しています。
(1)2歳未満で予防接種を受けた小児:6歳以降に黄熱の流行地域へ渡航する場合
(2)初回予防接種が妊娠中であった女性、HIV陽性者、およびHCSPの報告書に記載された条件で予防接種を受けた免疫不全患者:初回接種から10年後
(3)10年以上前に黄熱ワクチン接種を受けた人々:黄熱の発生が報告されている国へ渡航する場合
厚生労働省検疫所FORTH HPより引用
https://www.forth.go.jp/topics/20180906.html
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中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV) - 英国(UK) 5例目の輸入症例
Disease outbreak news 2018年8月31日
2018年8月22日、英国(the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)の国際保健規則(IHR 2005)に基づく連絡窓口(National Focal Point)は、WHOに対して、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染の発生を報告しました。患者は英国を訪れていたサウジアラビア王国の居住者です。
この患者は、80~89歳の男性で、基礎疾患として慢性疾患を有していました。彼はサウジアラビア王国におけるMERS-CoV患者との接触歴はありませんでしたが、発症前にラクダとの直接の接触歴がありました。
8月16日、患者は症状がありましたが、サウジアラビア王国から航空機で英国のマンチェスターへ、次いで車でリーズへと旅行していました。患者はリーズで隔離されて治療を受け、リバプールの特別な感染症専門病院に移送されました。患者の状態は改善され、引き続き隔離されています。
検査室での試験は、イングランド公衆衛生(PHE)バーミンガム研究所によって実施され、その結果はMERS-CoVについて陽性でした。これらの結果は英国のリファレンスラボ(national reference laboratory)によって確認されました。
これは英国で診断されたMERS-CoVの5番目の症例であり、前の4例は2012年と2013年に診断されました。
公衆衛生上の取り組み
英国当局は、2018年8月22日にサウジアラビア当局に速やかに通知しました。
英国の公衆衛生当局は、コミュニティ、家族、および医療施設における患者との接触者を確認し、フォローアップしています。患者が乗った飛行機の3列以内の席に座った乗客らには情報が提供されています。
サウジアラビア王国の公衆衛生当局は、病気に対する直接的な家族接触をスクリーニングしました。全ての鼻腔咽頭サンプルは、PCR検査により、MERS-CoVについて陰性でした。農業省の動物衛生部門は、サウジアラビア王国におけるラクダの曝露を調査しています。
WHOのリスク評価
感染した患者に防護されていないケアを提供するなど、密接な接触がない限り、ウイルスはヒトからヒトへ簡単には移しません。MERS-CoVによる感染は重度の疾患を引き起こし、高い罹患率および死亡率をもたらす可能性があります。コミュニティにおいて獲得されるMERS-CoVによるヒトの感染症は、感染したヒトコブラクダとの直接的または間接的な接触から生じます。またMERS-CoVは、感染した患者との無防備な接触を通じてヒト間で伝染することもできます。これまでに観察された非持続的なヒトからヒトへの感染は、主に医療施設で発生しています。適切な感染予防および管理措置を講ずることで、医療施設におけるヒトからヒトへの感染を阻止することができます。
この追加の事例の通知は、WHOのMERS-CoVに関する全体的なリスク評価を変更しません。WHOは、中東からMERS-CoV感染の症例がさらに報告されることを予期し、また、感染した動物や畜産物に曝露された後(例えば、ヒトコブラクダとの接触の後)または、患者との接触(例えば、医療施設で)、感染した個人によって、散発的な症例が他の国に持ち出され続けるでしょう。今日まで、Hajjに関連したヒトMERS-CoV感染はありません。
WHOは影響を受けている加盟国と連絡を取り合うために協力しています。追加感染事例は進行中のこの輸入症例に対する公衆衛生上の取り組みの一部として認識され、全般的に公衆衛生上のリスクは変わらず、低いままです。
WHOは疫学的状況を監視し、最新の入手可能な情報に基づいてリスク評価を実施しています。
WHOからのアドバイス
WHOは、現在の状況と入手可能な情報に基づき、すべての加盟国に対し、急性呼吸器感染症のサーベイランスを継続し、いかなるまれな症例でも慎重に検討するよう勧めます。WHOは、MERS-CoVが循環している国への最近の旅行履歴、ヒトコブラクダとの接触、医療施設への訪問を含む曝露情報の収集を推奨しています。
動物に触れる前後の定期的な手洗いや病気の動物との接触を避けるなどの一般的な衛生措置を守らなければなりません。食品衛生習慣を遵守しなければなりません。人々は生のラクダのミルクやラクダの尿を飲むこと、または適切に調理されていない肉を食べることを避けるべきです。
MERS-CoVが医療施設に広がる可能性を防ぐためには、感染予防と管理策が不可欠です。他の呼吸器感染と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的であるため、早期にMERS-CoV患者を特定することは常に可能ではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、常にすべての患者に標準予防策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の患者にケアを提供する場合は、標準予防策に飛沫予防策を追加する必要があります。MERS-CoV感染の可能性のある、または確認された症例を看護する際には、接触予防策および目の保護を追加すべきです。エアロゾル生成を伴う処置を行う際には、空気感染の予防策を適用する必要があります。
MERS-CoVのコミュニティおよび家族の意識とその家庭における予防手段は、家族内の伝播を減らし、コミュニティにおける集団発生を予防することができます。
糖尿病、腎不全、慢性肺疾患または免疫不全のような基礎疾患を有する人々は、MERS-CoV感染による重篤な疾患のリスクが高いと考えられています。これらの人々は動物、特にラクダとの密接な接触を避けるべきです。
WHOはこの事象に関して入境ポイントにおける特別なスクリーニングを勧告しておらず、現在、旅行や貿易の制限を適用することを推奨していません。
2018年7月現在、2012年以降に報告されたMERS-CoVの検査室で確定された症例の全世界の総数は、サウジアラビア王国から報告された1865人を含む2241人です。すべての症例の中で、少なくとも795人のMERS-CoV関連死が生じています。
全世界の数字は、IHR(2005年)に基づき、現時点までにWHOに報告された検査室で確定された症例の総数を反映しています。報告された死亡者の総数には、影響を受けている加盟国のフォローアップを通じてWHOが現在認識している死亡者も含まれます。どちらも感染と死亡の実際の数を過小評価する可能性があります。
出典
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) - United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
Disease outbreak news, WHO 31 August 2018
http://www.who.int/csr/don/31-august-2018-mers-united-kingdom/en/
厚生労働省検疫所FORTH HPより引用
https://www.forth.go.jp/topics/20180905.html
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首都件における風疹急増に関する緊急情報について
首都圏における風疹急増に関する緊急情報:2018年8月15日現在
国立感染症研究所 感染症疫学センター
(掲載日:2018年8月21日)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc.html
2018年第1~32週の風疹患者累積報告数は139人となり、2015~2017年の同時期における報告数を超え、さらに2016及び2017年の年間累積報告数を超えた。
過去には2013年に14,344人の患者が報告され、この流行に関連した先天性風疹症候群が45人確認されている。
「風しんに関する特定感染症予防指針(厚生労働省告示第百二十二号:平成26年3月28日)」では、「早期に先天性風疹症候群の発生をなくすとともに、平成 32年度までに風疹の排除を達成すること」を目標としている。
先天性風疹症候群の発生を防ぐためには、妊婦への感染を防止することが重要であり、妊娠出産年齢の女性及び妊婦の周囲の者のうち感受性者を減少させる必要がある。
また、風疹の感染拡大を防止するためには、30~50代の男性に蓄積した感受性者を減少させる必要がある。
風疹とは
風疹(rubella)は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症である。症状は不顕性感染から、重篤な合併症併発まで幅広く、臨床症状のみで風疹と診断することは困難な疾患である。
風疹に感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、出生児が先天性風疹症候群を発症する可能性がある。
男女ともがワクチンを受けて、まず風疹の流行を抑制し、女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要である。
※妊娠中は風疹含有ワクチンの接種は受けられず、受けた後は 2か月間妊娠を避ける必要があることから、女性は妊娠前に2回の風疹含有ワクチンを受けておくこと、妊娠出産年齢の女性及び妊婦の周囲の者に対するワクチン接種を行うことが重要である。
また、30~50代の男性で風疹に罹ったことがなく、風疹含有ワクチンを受けていないか、あるいは接種歴が不明の場合は、早めにMRワクチンを受けておくことが奨められる。風疹はワクチンで予防可能な感染症である。
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