ストレスチェック
ストレスチェック・情報通信機器を用いた面接指導
ストレスチェック 派遣労働者の取り扱い
派遣労働者の取り扱いについて
派遣労働者へのストレスチェックについて、例えば、ある派遣元と雇用契約を結んでいる派遣労働者が200 人おり、そのうち、ある派遣先事業場に20人が派遣されており、その事業場には20人の派遣労働者と派遣先の正規職員40 人の合わせて60人の従業員がいる場合、ストレスチェックの実施義務はどこにどのように生じるのでしょうか。
※ 派遣元がストレスチェックを実施する場合には、派遣元と雇用契約を結んでいる派遣労働者が50人以上いるかという点で判断するので、例えば200人いるということであれば、何人をどこに派遣していようが、ストレスチェックを実施する義務が派遣元に生じます。
※ 派遣先事業者に労働者が60人(内20人が派遣労働者)という場合、正規の労働者は40人しかいなくても、事業場の人数の数え方は派遣労働者を含めてカウントするため、そのような派遣先にはストレスチェックの実施義務があり、派遣先は40人の正規労働者に対してストレスチェックを実施する義務が生じることになります。
なお、派遣先については、派遣労働者に対しストレスチェックを実施する義務はありませんが、派遣労働者20人に対してもストレスチェックを実施するとともに、職場の集団ごとの集計・分析を実施することが望まれます
※派遣先事業者が派遣労働者についてストレスチェックを行うことは法令に基づく努力義務ではなく、指針による望ましい措置になります。
・派遣労働者に対するストレスチェックの実施義務は派遣元にある。
・派遣元がストレスチェックを実施する場合は、派遣元と雇用契約を結んでいる派遣労働者が50人以上いるかどうかで判断する。
・事業場の人数の数え方は、派遣労働者を含めてカウントする。
ストレスチェック 不利益取り扱いの防止
《禁止されるべき不利益取扱いについて》
労働者が受検しないこと等を理由とした不利益取扱い
法律に規定されているもののほか、少なくとも、以下に掲げる不利益な取扱いについては合理的な理由がないため、事業者が行ってはならないものとされています。また、不利益取扱いの理由が以下に掲げる理由以外のものであったとしても、実質的に以下①~③に該当するとみなされる場合には、同様に事業者が行ってはならないものとしてみなされますので注意が必要です。
① ストレスチェックを受けない労働者に対して、受けないことを理由に、不利益な取扱いを事業者が行うこと。
② 個人のストレスチェック結果の提供に同意しない労働者に対して、同意しないことを理由に、不利益な取扱いを事業者が行うこと。
③ 面接指導の要件を満たしているにもかかわらず、面接指導の申出を行わない労働者に対して、申出を行わないことを理由に、不利益な取扱いを事業者が行うこと。
ストレスチェック 面接指導の実施
面接指導の実施方法について
※面接指導の対象となる労働者の要件は、「検査の結果、ストレスの程度が高い者」で、「検査を行った実施者が面接指導の実施が必要と認めたもの」とする。
※労働者が検査結果の通知を受けた後、面接指導の申し出を遅滞なく行うとともに、事業者は、労働者から申し出があったときは、遅滞なく面接指導を実施しなければならない。
※面接指導の実施者は、面接指導の対象となる要件に該当する労働者に対して、面接指導の申し出を行うよう勧奨することができる。
※医師は、面接指導を行うに当たっては、この労働者の勤務状況や心理的な負担の状況などを確認すること。
面接結果の保存
事業者は、面接指導の結果の記録を作成し、これを5年間保存しなければならない。
面接指導の結果として、事業者は以下の事項を5年間保存することが求められます。
医師からの意見聴取
面接指導の結果に基づく医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行わなければならない。
労働者から面接指導の申し出があった場合は、事業者はこれを実施する義務が発生します。申し出がなかった場合には、ストレスチェックの実施者が労働者に対して面接指導の申し出をするよう勧奨することが推奨されています。
事業者には、面接指導の結果を確認する義務があり、さらに必要に応じた対応が求められます。面接指導の実施者は『産業医が望ましい』、外部委託する場合も『産業医資格のある医師』が望ましいとされています。
外部委託の場合は、その機関に、適切に面接指導を実施できる医師がいるのか、情報の管理や面接指導体制が整っているかなどの確認を行いましょう。
ストレスチェック 検査結果の集団ごとの集計・分析
検査結果の集団ごとの分析と職場環境の改善
事業者は、実施者に、検査の結果を一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について分析させるよう努めるとともに、この分析結果を勘案し、必要と認められる場合は、その集団の労働者の実情を考慮して、この集団の労働者の心理的な負担を軽減するため、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
ストレスチェックの結果の集団分析は事業者の努力義務とされました。
集団的分析結果を事業者に提供する場合、労働者の同意は必要ないとされています。(但し、集団分析の単位が10人を下回る場合は、個人が特定されるおそれがあるため、分析の対象者となる労働者全員の同意が無い限り事業者に分析結果を提供することは不適当とされています)
集団的分析結果は、職場環境改善に活用されることが適当とされています。
ストレスチェック 結果の通知について
ストレスチェック結果の通知
※検査結果は、検査の実施者から、遅滞なく、労働者に通知されるようにしなければならない。
※検査の結果を事業者に提供することについての労働者の同意の取得は、書面又は電磁的記録に
よらなければならない。
※事業者は、労働者の同意を得て、検査の結果を把握した場合には、当該結果の記録を作成し、5年間保存しなければならない。
それ以外の場合には、事業者は、検査を行った実施者による検査結果の記録の作成及び検査の実施の事務に従事した者による
当該記録の保存が適切に行われるよう 必要な措置を講じなければならない。
ポイント
検査を行った医師等は、労働者の同意を得ないで、検査結果を事業者に提供してはなりません。
同意の取得方法は、ストレスチェック結果通知後に、検査を受けた者全員または、面接指導の対象者に対して個々に同意の有無を確認するなどその都度行うことが適当であるとされています。(実施前、実施時の同意取得は不適当とされています)
ストレスチェック 実施について
ストレスチェックの実施
事業者が医師等によるストレスチェックを年1回、実施することが義務付けられました。
(労働者数50人未満の事業場では、当分の間努力義務)
平成27年12月1日から平成28年11月30日までの間に1回以上実施することが必要となります。
※検査の実施について
事業者は、常時使用する労働者について、毎年1回、定期に、下記事項について検査を行う必要があります。
・職場におけるストレスの原因に関する項目
・ストレスによる心身の自覚症状に関する項目
・職場における他の労働者による支援に関する項目
※検査の実施者について
医師又は保健師のほか、厚生労働大臣が定める一定の研修を修了した看護師又は精神保健福祉士とする。
ただし、検査を受ける労働者について、解雇等の直接的な人事権を持つ監督者は、検査の実施の事務に従事してはならないこととする。
ポイント
ストレスチェックの実施者は、産業保健衛生スタッフ(医師、保健師、厚生労働大臣が定める一定の研修を修了した看護師又は精神保健福祉士)になりますが外部委託も可能となります。
人事権を持つ人は関わることが出来ない点に注意が必要です。
ストレスチェック制度とは?
ストレスチェック義務化法案の背景
日本国内におけるメンタル不調者は、100万人を突破し、抑うつ、不安による社会損失は8兆円とも言われています。(厚生労働省 みんなのメンタルヘルス出典)
このような状況を改善するべく労働安全衛生法を改正する法案が2014年6月25日に可決されました。
ストレスチェック制度とは?
改正労働安全衛生法に基づき、今年12月から従業員50人以上の事業場に対し、医師、保健師等によるストレスチェックの実施が義務化されます。(50人未満の事業場は努力義務とされています)
この制度は、一次予防を主とし(メンタル不調の未然防止)、労働者自身のストレスへの気づきを促す、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげることが目的とされています。
検査の結果は直接本人に通知し、本人の同意なしには事業者に通知することは出来ません。また、『高ストレス』と判定されたものが、事業者に面接を申し出た場合は、産業医が面接指導を行う流れになります。
申し出を理由とする不利益な取り扱いは禁止されています。面接指導の結果に基づき、医師の意見を聴き、必要に応じて就業上の措置を講じることが事業者の義務となります。
《 事前に衛生委員会等で以下のような項目について話し合いを行っておきましょう 》
※ストレスチェックを実施する目的、不利益取り扱い禁止等の周知について
※ストレスチェック実施者となる産業医の選任
※面接の窓口の設置
※個人情報の取り扱い