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産業医紹介ナビ》 セクハラ対策の重要性について

ハラスメント防止コンサルタントの視点①

セクハラ対策の重要性について

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今、世間を騒がせている問題の一つに、セクハラ問題があります。

現在、「〇〇ハラ」呼ばれるハラスメントは30種類を超えていますが、その中でも歴史が長く、誰もが知っているハラスメントといえば、セクシュアルハラスメントといえるでしょう。

その言葉が1989年の新語部門で流行語大賞に選ばれて30年が経とうとしています。
1997年には男女雇用機会均等法にセクハラに関する初めての規定として「配慮義務」が盛り込まれ、10年後の2007年には「措置義務」に修正され、組織のセクハラ対策が強化されました。
そして、現在までに「女性から男性」「同性同士」「LGBT」へと対象を拡大しながら規制も強めてきましたが、現在も被害者が後を絶たない状況が続いています。


ハラスメントのコンサルティングをすると、「パワハラはあるがセクハラは大丈夫です」と自信をもって答える経営者や人事責任者が多く、企業研修に出講すると、「社内にセクハラはないと思う」と答える受講者は多いが、はたして、被害者はいないと決めつけていいのでしょうか。

2016年の独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した「妊娠等を理由とする不利益取り扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査」によると、「25歳~44歳の女性労働者」の4人に1人以上(28.7%)がセクハラ被害を受けたことがあり、セクハラ被害者の対応として、「がまんした、特に何もしなかった」が63.4%と最も多い。

こういったアンケート結果から、セクハラ被害の多さ、被害の見えにくさといった問題が見えてきます。「今の職場にセクハラはないと」という労働者の感覚と「現実に被害者が多い」という実態に乖離があるのです。
 

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では、なぜ、誰もが悪いとわかっているはずのセクハラはなくならないのでしょうか?
私は、長年、ハラスメント防止を目的に全国で講演や被害者、行為者面談等を実施してきた経験から、個人と組織のセクハラに対する認識の甘さに原因があると考えています。

個人の認識はどうなっているか?セクハラ研修で実施するグループ討議では、「コミュニケーションのズレ」「相性の問題」「性的なことでも笑って受け流すぐらいの余裕がほしい」「セクハラ対策も行き過ぎると女性に話しかけることすらできない」といった意見は出るものの、残念ながら「セクハラは重大な人権侵害です」という声は聞こえてきません。これではセクハラはなくなりません。

一方、組織の認識はどうでしょうか?事業主の講ずべき措置として、厚生労働省のセクハラ指針に沿った対策が基本となります。


これまで人事担当者向けのセミナーを多数実施してきましたが、セクハラ指針の10項目中、全て実施している企業は一握りといったところです。
セクハラ対策の取組みの甘さから、問題の重要性が認識できていない様子が伺えます。職場のセクハラ対策の再点検が急務といえるでしょう。

[セクハラ指針]
① セクハラの内容、方針等の明確化と労働者に周知・啓発すること
② 行為者への厳正な対処方針、内容の規定化と周知・啓発すること
③ 相談窓口の設置をすること
④ 相談に対する適切な対応をすること
⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
⑥ 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと
⑦ 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと
⑧ 事実の有無にかかわらず再発防止に向けた措置を講ずること
⑨ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること
⑩ 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取り扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること


これからの取組みとして、セクハラス防止の機運が高まっている今こそ、実効性のあるセクハラ対策を推進すべきです。とりわけ、次の3点を重点施策にすることをご提案します。

1.トップのセクハラを許さないメッセージを全社に発信する
2.研修を実施する(全従業員・ハラスメント担当者・行為者再発防止)
3.相談しやすい窓口づくり(外部相談窓口設置含む)
 

2018年6月12日、政府の緊急対策として、「中央省庁の課長級以上の幹部らにセクハラに関する研修の受講を義務付け、今後は、民間の事業主がセクハラ防止を徹底するよう厚生労働省が対策を検討する方針」との発表がありました。

セクハラに対する認識を変えるには、効率を重視したeラーニングではなく、効果を重視した階層別研修会の開催をお勧めします。その場合、「セクハラを正しく理解し、セクハラは絶対にしない意識の形成」を到達目標にし、経験豊富な講師に任せた方がいいでしょう。
ハラスメント担当者対象の研修では、ハラスメント対応の原則を理解し、相談スキルを上げることが到達目標になりますので、ロールプレイを含めた体験型カリキュラムが基本となります。

セクハラが発生した場合、セクハラ指針に準じて、行為者への再発防止対策が求められます。セクハラは処分とセットになることが多いですが、罰することが目的ではなく、同じ行動を繰り返さないため、行為者に教育の機会を与えることが大切です。
 

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世界に拡がったセクハラ防止キャンペーンが「♯Me Too(私も同じ)」から「Time’s Up(もう終わりにしよう)」に展開したように、行政の動きを待つのではなく、企業が主体となり、従業員に対して、「セクハラ問題を終わりにする」ことを宣言し、健康経営、女性活躍推進、ダイバーシティ、コンプライアンス対策等の重点施策に「セクハラ防止」を含めることが肝要です。
組織として、セクハラを徹底的に禁圧し、個人がセクハラを「重大な性的人権侵害」と認識するレベルに達したとき、セクハラ問題を終わりにすることができるでしょう。
 

                          メンタルプラス株式会社 代表取締役  和田 隆

 

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