2015年10月
新型ノロウイルスの流行
新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17の流行
国立感染症研究所などの調査によると、川崎市内で発生した食中毒事例を含む感染性胃腸炎患者から、新たな遺伝子型のノロウイルス(NoV)GII.P17-GII.17が検出されたとのことです。長野県や埼玉県、栃木県などで昨秋以降に検出されたウイルスの遺伝子型を調べた結果、今年1月以降、「GⅡ・17」が33例発見されたという。研究グループはさらに対象を広げて2013年から2015年までに検出された「GⅡ・17型」の遺伝子配列を解析したところ、過去に台湾や中国など海外で検出されたものと同じ遺伝子型で、国内ではこの2年間に131例検出されていたことがわかりました。新たなウイルスに対しては人が免疫を持たないことから大きな流行になる可能性があるとしています。
ノロウイルスは、嘔吐、下痢などの胃腸炎、発熱を起こすウイルスで、毎年秋から冬にかけて本格的な流行を繰り返します。主な症状は、突発的な激しい吐き気、腹痛、悪寒、38℃程度の発熱、嘔吐の数時間前から胃にもたれなどを感じる場合もあります。これらの症状は通常1~2日で治癒しますが、免疫力の低い老人や乳幼児では長引くこともあり死亡例もみられます。ワクチンや特別な薬はないため、嘔吐や下痢による脱水症状を起こさないよう水分補給などの対症療法が中心となります。
ノロウイルスの感染力は非常に強く、患者の嘔吐物や便などウイルスで汚染された物に触った手などを介しての経口感染、感染者の糞便や吐瀉物に排出されたウイルスが付着し、飛散した飛沫から空気感染を起こします。
アルコールによる消毒では十分な効果は得られないためマスクや手袋を着用し次亜塩素酸ナトリウムを含む漂白剤などを使用し消毒する必要があります。
生ものは避けて加熱調理をする、手洗いを徹底する、調理器具、食器などの消毒を行う、嘔吐物の処理に注意するなどノロウイルス流行期にそなえ充分な注意が必要です。
ポイント
11~12月は会食などの機会も増え、多くの人との交流が盛んになる時期です。この時期に乾燥した気候とも相まって、インフルエンザやノロウイルスなどのウイルス感染が一気に拡大することがあります。感染が疑われた場合、出来るだけ多くの人との接触は避け、 最寄りの保健所やかかりつけの医師にご相談下さい。また、家庭や社内で何人もの人が同じような症状になった場合には、感染経路を調べ、感染拡大を防ぐことが重要ですので、速やかに最寄りの保健所にご相談下さい。
また、水分摂取を試みたものの、十分に摂取できないような場合には、医療機関を受診し適切な対症療法を受けてください。
株式会社メディエイト産業医 望月香織 (Kaori Mochizuki M.D)
参考文献 国立感染症研究所ホームページ(掲載日 2015/9/2) (IASR Vol. 36 p. 175-178: 2015年9月号)
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外食が多いうという方は、メニュー選びと食べ方に注意しましょう
丼ものやパスタ・ラーメンなどの一品料理は、野菜が不足ぎみで糖質や脂質・塩分が多くなりがちです。野菜や小鉢など、一度にいくつかの食材を摂取できるような定食を選ぶよう心がけましょう。揚げものやスイーツ等も控えましょう。
また、味が濃いと食事量が増加してしまう傾向にあるので、できるだけ薄味を心がけ、調味料の使い過ぎにも注意しましょう。
食べ方のコツとして、まず始めに野菜や海草から食べるようにしましょう。揚げものや炭水化物の量はやや控えめに。丼ものは最初からごはんを少なく盛ってもらうなどの工夫で、エネルギー量や脂質をおさえることができます。
株式会社メディエイト産業医 望月香織 (Kaori Mochizuki M.D)